アリタリア「欠航目前」、旅客は鉄道にシフト

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経営危機に陥っている伊アリタリア航空の労使交渉は18日、組合の一部が再建案を拒否したことを受け、新しい出資予定者が再建計画からの撤退を決めた。そのため一部からは「欠航目前」との説が出始めている。

アリタリア再建にあたっては8月、ベルルスコーニ政権主導のもとで国内16の企業・出資者で構成される救済受け皿会社「イタリア航空会社」(CAI。当初の仮称はニューコ)の設立計画が発表された。

出資メンバーにはベネトン・グループも名を連ね、会長にはピアジオ社会長でもある実業家ロベルト・コラニンノ氏が就くことになっていた。

コラニンノ氏らは人員・給与削減の規模縮小で労組との接点を見出そうとしたが、操縦士の組合と全国労組CGILが提案を拒否。そのため18日夜、CAIメンバーは再建計画からの撤退を決めた。

これを受けて、アリタリアは4000規模の一時帰休(レイオフ)を実施することで当座を乗り切ると思われるが、「近日、一部の便に欠航が発生する」との説が早くも流れ始めている。

とりあえず19日はすべてダイヤどおり運航されたが、早くも突然の欠航などを恐れた国内旅行客がアリタリアを避け、鉄道を使うようになっている。そうした状況を受けて同日、イタリアで特急エウロスターを運行する鉄道会社「トレニタリア」社は、ミラノ - ローマ間で臨時列車を増発し始めた。

ベルルスコーニ首相は、交渉決裂の原因は労働組合とその背後にある野党・中道左派政党にあると非難している。いっぽうで、アリタリア旧経営陣が「責任を取る」との理由から、次々と高額の退職金を受け取って辞任していった、親方日の丸体質も見逃せない。

またイタリア公営放送RAIはラジオで、2005年の新CIロゴ導入について指摘。当時すでに不振に陥っていたにもかかわらず、「旧文字を僅かに斜めにしただけの」新ロゴ制作費に52万5000ユーロかけたことを、危機感の欠如として指摘している。

今年4月、エールフランス-KLMによるアリタリア買収を画策しながらも失敗した同社のプラト会長の発言「(同社を)救えるのは祈祷師のみだ」が、いよいよ現実味を帯びてきた。

《大矢アキオ Akio Lorenzo OYA》

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