【伊東大厚のトラフィック計量学】高速道路とトラックの輸送効率

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大型トラックと通行規制

8月初旬のタンクローリー火災事故により、首都高速は現在も一部区間が通行止めとなっている。渋滞悪化など経済損失は大きく、あらためて高速道路の存在意義を認識させる事故となった。今回は、高速道路とトラックの輸送効率について考えてみたい。

トラックの大型化は輸送効率のアップにつながる。10tトラックなら1台で済むところを5トン積みでは2台必要となるように、貨物量がまとまるのなら、トラックの大型化によって交通量は減り、CO2も削減できる。

しかし、トラックには通行規制がある。総重量20t(10t積みに相当)を超える大型トラックの場合、高速道路は全線通行可能なものの、一般道路で自由に通行できるのは「重さ指定道路」のみとなる(図1)。

◆高速道路による輸送効率のアップ

東京都市圏物資流動調査では、大型トラックの走行実態を詳しく調査している。高速道路や「重さ指定道路」のネットワークが不充分なため、大型トラックは都心部や住宅地周辺の通過や遠回りするケースも少なくなく、走行距離が増え時間をロスしている。

こうした実態把握をもとに、この調査では高速道路の開通による大型トラックの輸送効率がどのくらい改善するかを予測している。高速道路の開通で、大型トラックは環状道路を利用するようになり、東京都心部への流入は激減する(図2)。

高速道路の開通によって、大型トラックの高速道路利用率は51%から68%にアップ、走行時間は21%短縮し、一般道路上の大型トラックは34%減ると予測されている(図3)。時間短縮によって、巡回先を増やしたり、もう一往復できるなどトラックの物流効率はアップする。

◆大胆な料金引下げが必要

また、一般道路上から大型トラックが減ることは、一般ドライバーや歩行者にとって大きなメリットとなる。あと5年ほどで、首都圏三環状のうち圏央道と首都高速中央環状線の主な区間が開通する。東京外環の開通はさらに先になるが、5年後には変化が実感できるのではないだろうか。

しかし、燃料価格高騰の影響は深刻であり、トラックを高速道路に誘導するには料金引下げが必要だ。料金引下げは政府も検討しているが、インパクトある下げ幅にしない限り、トラック事業者は反応しない。道路会社の減収も懸念されるが、高速道路を利用しやすくすることを優先すべきだろう。

《伊東大厚》

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