記者を拘留、編集部も捜索---スパイ容疑

自動車 社会 行政
記者を拘留、編集部も捜索---スパイ容疑
  • 記者を拘留、編集部も捜索---スパイ容疑
  • 記者を拘留、編集部も捜索---スパイ容疑

仏パリで15日、自動車誌『オトプリュス』(Autoplus)の記者が産業スパイ容疑で拘留され、編集部も捜索を受けた。拘留されたのは新車スクープ記事を担当していたブルーノ・トマ記者で、現在も拘留中。

事件は昨年夏、3代目ルノー『メガーヌ』の情報を入手したとされるもの。先週捜査当局は、すでに情報を提供した疑いのあるルノー関係者の事情聴取を行なった。

『オトプリュス』のウェブサイトによると、トマ記者は家宅捜索に来た捜査員によって、妻子が見ている前で連行されたという。また編集部では、10数名の捜査員によってパソコンやハードディスク、写真などが押収された。

『オトプリュス』は総頁数約100ページの週刊自動車誌。昨年11月に第1000号を発行した。価格は1.8ユーロ(約300円)だが、範囲は新型車情報、比較テストから信頼性追跡調査、交通安全問題まで幅広い。そのため安価かつ内容の濃い自動車誌として読者の支持を集めている。

ローラン・シャペロ編集長はウェブサイトの動画を通じて、「自動車誌のスクープ記事は約60年間存在するもので、私たちの雑誌上でも20年以上続く、もはや日常化したのに、なぜ?」と疑問を呈している。

また冷静な口調ながら、「我々の仕事は、情報提供者が誰であるかを秘する権利がある」として、当局の対応に厳重抗議をしている。

今回の事件をフランスの各メディアでは、一自動車誌の問題に留めず、報道の自由の領域まで踏み込んだ議論を喚起しながら伝えている。

《大矢アキオ Akio Lorenzo OYA》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集