昨年10月、急成長する携帯ナビ市場に参入したのが、ユビークリンクの「全力案内!」だ。同サービスは鉄道・バスなど公共交通から徒歩ナビ、クルマ向けの助手席ナビまで網羅した総合ナビサービスであり、コンセプトは老舗のNAVITIMEに近い。一方で、クルマ向けのナビ機能やコンテンツには特に注力しており、全力案内!オリジナルの魅力になっている。
◆他社のナビと明らかに異なるルート選択
全力案内!の優位性は、何といっても「プローブシステム」を用いたVICS以上のリアルタイム渋滞情報である。現在は東京、神奈川、愛知など8都府県で対応している。プローブ情報は現在、約7000台のタクシーを中心に収集しており、年内には1万3000台まで対応タクシーが増える見込みだ。全力案内!のサービスでは、このプローブ情報をリアルタイムで提供するだけでなく独自に解析もし、ケータイナビながら渋滞予測システムにも対応している。
では、実際のところ、このプローブシステムによる効果はどれほどあるのか。
今回の試乗テストでは、複数のケータイナビやPNDのを同時にテストしたのだが、全力案内!の選定するルートは他社のものと明らかに異なっていた。画面上にはVICS渋滞情報にプラスして、プローブシステムによる情報も表示されており、ルートはそれらの渋滞をうまく避けるように設定されていく。今回の試乗テストが都心部で行われたこともあるが、プローブによる渋滞情報の量は多く、回避性能も含めて、その効果は特筆すべきものがあった。
しかし、その一方で、自車位置アイコンや設定されたルートの表示が見にくく、走行中にパッと見ただけではわかりにくい印象を受けた。この辺りは今後の改善に期待したいところだ。
全力案内!ではプローブ情報以外のコンテンツも充実しており、ケータイナビやテレマティクス対応ナビにとって必須というべき「駐車場満車空車情報」や「ガソリンスタンドの価格情報」のほかに、ETCの時間帯割引や距離別料金を反映した「高速道路料金情報」なども用意されている。プローブ情報を軸とした“走るためのリアルタイム情報”の質と量はとても充実している。