トヨタなど5社が最高益を予想
自動車メーカー各社の9月中間決算が出揃い、併せて2007年度(08年3月期)の最新の業績予想も公表された。12月決算のヤマハ発動機を含む11社(非上場2社除く)の純利益は単純合計で前年度比4%増の約3兆2300億円となり、3期連続で最高を更新する。
サブプライムローンに端を発した世界経済の停滞や為替動向が気になるところだが、各社は堅めの予想を出しており、着地点はそうブレないと見る。
9月中間決算(ヤマハは6月中間)は、国内の不振を海外市場でカバー、為替も円安に振れたことから、いすゞ自動車を除く10社が営業利益で増益を確保した。通期の予想は、そうした中間期の好業績を反映して日産自動車とマツダを除く9社が上方修正した。
その予想に基づくと、純利益ベースではトヨタ、ホンダ、スズキ、マツダ、ヤマハの5社が過去最高を確保する。06年度の6社より少ないものの、業界ベースでは高いレベルの業績が続くことを示している。ホンダは2期ぶりの更新となるが、トヨタとスズキは6期連続、ヤマハは7期連続と持続的な収益の伸びを達成する企業が目立つ。
◆サブプライムの影響は現時点ではない
下期では最大市場の北米の市場動向や為替相場の推移が各社の業績を左右する。米国はサブプライムローン問題で景気全般の減速が避けられない情勢となっている。
ただ、サブプライムローン問題の自動車販売への影響については「下期は状況を慎重に見極めたいが、今のところ影響はない」(ホンダの近藤広一副社長)と、日本車の販売への波及を懸念する声は少ない。
市場はマイナス傾向となっているものの、日本の大手3社はいずれも販売を伸ばしており、トヨタは「北米でのアドバンテージは続いている」(鈴木武専務)と言い切る。原油価格の高騰も、北米では今のところ燃費性能のよい日本車には追い風に作用している。
◆為替に影響されない収益力へ前進
各社の業績へのインパクトとなるのは、ほぼ1年半ぶりに1ドル=110円台を割り込んだ為替の動向だけと見てよい。ただ、最高益を更新するトヨタやスズキ、マツダは下期の円ドルレートを1ドル=110円(通期では同115円)と想定しており、今後も110円前後の推移となれば予想利益の確保は確実といえよう。
ホンダは下期を同113円(同116円)と、やや円安前提としており、現状の相場が続くと若干の下方修正が必要になるかもしれない。だが、前期比で減益に陥ることはなかろう。
06年度の為替レートは平均で1ドル=117円だった。今年度は小幅の円高となりそうだが、それでも最高益を確保する企業は、「為替動向に左右されない収益力」を着実につけていることも意味する。
自動車メーカーの07年度業績予想
メーカー:
売上高 / 純利益
●トヨタ自動車:
25兆5000億円(6.5%)
/ 1兆7000億円(3.4%)◎
●ホンダ:
12兆3000億円(10.9%)
/ 6400億円(8.0%)◎
●日産自動車:
10兆3000億円(−1.6%)
/ 4800億円(4.2%)
●スズキ:
3兆3300億円(5.3%)
/ 820億円(9.3%)◎
●マツダ:
3兆3200億円(2.2%)
/ 850億円(15.3%)◎
●三菱自動車:
2兆7000億円(22.6%)
/ 200億円(128.7%)
●いすゞ自動車:
1兆7500億円(5.2%)
/ 800億円(−13.4%)
●ダイハツ工業:
1兆6400億円(0.2%)
/ 280億円(−19.4%)
●富士重工:
1兆5600億円(4.4%)
/ 170億円(−46.7%)
●日野自動車:
1兆3400億円(4.1%)
/ 220億円(9.7%)
●ヤマハ発動機:
1兆7000億円(7.5%)
/ 795億円(2.9%)◎
※カッコ内は前期比増減率
※ヤマハ発動機のみ12月期決算
※純利益の◎印は過去最高