悪質ひき逃げに殺人未遂の適用を認め、懲役16年の実刑

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昨年4月、千葉県柏市内の市道で、自転車で道路を横断していた女子高校生3人に信号を無視した乗用車が突っ込み、うち1人が約400mに渡ってひきずられた事件で、殺人未遂や危険運転致傷などの罪に問われた43歳の男に対する判決公判が26日、千葉地裁松戸支部で開かれた。裁判所は殺人未遂の成立を認め、被告に対して懲役16年の実刑を命じた。

問題の事故は2006年4月25日夕方、柏市新柏1丁目付近の市道で発生した。自転車で帰宅中の女子高校生3人が青信号に従って道路を横断していたところ、赤信号を無視して進入してきた乗用車が衝突した。

3人は次々とはねられたが、このうち1人は車体底部に挟まれたまま約400mに渡って引きずられ、骨盤などを折る重傷を負った。クルマはそのまま逃走したが、目撃情報から42歳(当時)の男を特定して逮捕。後に殺人未遂と危険運転致傷の罪で起訴された。

被告は捜査段階で「人を巻き込んでいたのは認識していた。捕まりたくないから逃げた」という内容の供述を行っていたが、殺人未遂で起訴されて以後は「人という認識は無く、巻き込んだのは衝突によって破損したクルマの部品だと思った」などと主張し、未必の殺意を否定。殺人未遂には当たらないとしていた。

26日に開かれた判決公判で、千葉地裁松戸支部の伊藤正高裁判長は「被害者が死ぬかもしれないと思ったという、未必の殺意を認めた捜査段階の供述は信用できる」として、被告側の主張を退けて殺人未遂罪は成立すると判断した。

その上で裁判長は「被告は無免許・酒気帯び状態で運転中に本件事故を起こしており、検挙から逃げたい一心で走行を続けた。公判では不合理極まりない弁解に終始し、真摯に反省しているか疑わしい」と指摘。「あまりに自己中心的で身勝手かつ悪質な犯行である」として、被告に対して懲役16年の実刑判決を言い渡している。

《石田真一》

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