昨年8月、佐賀県唐津市内の市道で、並走するクルマへ故意に幅寄せし、衝突事故を誘発。3人を死傷させたとして危険運転致死傷などの罪に問われた42歳の男に対する論告求刑公判が8日、佐賀地裁で開かれた。検察側は懲役10年を求刑している。
問題の事故は2006年8月13日の午前1時15分ごろ発生した。唐津市東唐津付近の市道で、56歳の男性が運転する乗用車が道路右側の標識柱に激突。クルマは大破し、前席に乗っていた2人が内臓破裂などで死亡、後部座席の同乗者が右足を骨折するなどの重傷を負った。
「対向車が標識柱に衝突した」との匿名通報があり、警察では当初は単独事故として捜査を開始したが、重傷を負いつつも生存した男性が「長いことカーチェイスをしていた。最後は幅寄せされた」などと証言。
通報内容に不審な点もあることから、携帯電話の発信記録を元に通報者を割り出し、41歳(当時)の男から事情を聞いたところ、約3kmに渡ってカーチェイスを繰り返し、追い越しを防ぐ目的で故意に幅寄せしたことを大筋で認めたことから危険運転致死傷容疑で逮捕。検察も同罪で起訴していた。
弁護側は「知人女性と交際トラブルを起こしていた男性がクルマに同乗しているのを発見し、話をしようと追いかけただけであり、進行妨害の強い目的はなかった」と主張していたが、8日に行われた論告求刑公判で、検察側は「積極的な進行妨害の意図があった」と指摘。「殺人にも匹敵する凶悪性」として、裁判所に懲役10年を求刑した。