衝突・接触なしの事故で割り込み車両の責任認め、実刑判決

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2004年1月、東京都町田市内の東名高速下り線で急激な割り込みを行い、4人が死傷する後続車の衝突事故を誘発したとして、業務上過失致死傷罪に問われた25歳の男に対する判決公判が1月31日、横浜地裁で行われた。裁判所は目撃証言を重視。被告に対して禁固の実刑を命じた。

問題の事故は2004年1月11日夕方に発生した。町田市鶴間付近の東名高速下り線で、追越車線(第3車線)を走行していた39歳(当時)の男性が運転する乗用車の直前に、走行車線(第1車線)にいた乗用車が2車線を一気に越えるような状態で急に割り込んできた。男性の乗用車は急ブレーキを掛けて回避しようとしたが、その際に中央分離帯に接触して横転。数回に渡って転がり、乗っていた4人が次々と車外に投げ出されて死傷した。

割り込んできたクルマはそのまま逃走したが、後に25歳の男が容疑に関係したと判明。検察は「強引ともいえる割り込みが事故の原因であることは間違いない」として、業務上過失致死傷などの罪で起訴。

検察は並走していた複数のクルマの運転者が「衝突するかと思うほど接近していた」と証言していることから「危険を与えたことは間違いない」としていたが、これに対して被告弁護側は「強引な割り込みは行っていない」と主張。男のクルマは事故車両と実際の接触をしていないことから、「割り込みが危険だったか、否か」が事実上の争点となっていた。

1月31日に行われた判決公判で、横浜地裁の永井秀明裁判官は「複数の目撃証言から、両車の間隔は15m程度だったと考えられる」として、追突の危険性が生じていたことを認めた。その上で裁判官は「被告の不適切な車線変更が後続車に追突の危険性を生じさせたことは明らかである」と指摘。

「被告は運転者としての基本的な注意義務を怠るだけではなく、クルマ同士が接触していないから自分は無関係という非常識な弁解に終始した」、「目撃者の誰もが危険性を指摘しており、被告の責任はあまりに重大である」として、禁固3年6カ月の実刑を命じている。

なお、目撃証言には「15m以上離れていた」というものもあり、被告側はこれを根拠として翌日までに控訴している。
《石田真一》

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