いいデザインは、結局、人なのだ |
デザイナーエリアだけでなく、実際のクルマを形作るリエゾンエンジニア、すなわちクレイモデラーが主役のモデリングスタジオも充実している。
1/1クレイモデルの製作は、デザイナーとモデラーが共同で行う。デザイナーはCAD図面でデザインを微修正しながらクレイモデルでデザインを確認できる。一方、モデラーのほうから「ちょっと違うんじゃないか」という意見が出されることもある。デザイン検討の作業とモデリング作業が同時に進行するというイメージだ。
まず数値制御切削機で荒削りな形を作ったあと、モデラーが自分の手の感覚によって、デザイナーの意図するボディの微妙なカーブを形成させる。ボディの左右面で形が変わってしまうことはないかと質問したが、感覚だけで三次曲面をほぼ誤差ゼロに仕上げることができるのだそうだ。
「自動車メーカーは規模が大きく、デザイン部門だけでも多数のスタッフが関わっています。大人数だからこそ、全員が目標を共有して、共同で作業を進めていくことが大事なんです。いいデザイン作りは、結局、人にかかってますから」(デザイン担当者)
仕上がったクレイモデルにはダイノックというアルミ箔状のフィルムを貼り、より実車に近い金属の面質を再現させてデザインチェックを行う。屋内でデザイン検討を行うことができるよう、天井の照明はシームレスな全面照明だが、映り込みによって面の造形を検討するため縦グリッド、横グリッド、格子状に一部を消すこともできる。最終的なデザインチェックは、屋外で行われる。