交通トラブルを起因の殺人、懲役10年判決

自動車 社会 社会

2005年11月、山口県宇部市内の市道で、交通トラブルによる口論の末に相手の男性をクルマでひき殺し、殺人などの罪に問われた27歳の男に対する判決公判が20日、山口地裁で開かれた。裁判所は被告の男に懲役10年の実刑を命じている。

問題の事件は2005年11月15日に発生している。宇部市若松町付近の市道を乗用車で走行していた被告の男が、前を走っていた74歳の男性が運転するクルマの速度が遅いことに腹を立ててクラクションを連打。これを発端として激しい口論となった。

男はクルマの前に男性が立ちはだかっていることを承知でクルマを発進させ、男性に衝突。男性は頭部や胸部を強打したことが原因で死亡した。

男は殺人容疑で逮捕されたが、捜査段階から「殺意は無かった」と強固に主張。事故を起こしたクルマがオートマチック車だったこともあり、公判でも弁護側が「ブレーキを緩めたらクルマが勝手に動き出した。アクセルは踏んでおらず、速度も低かった」として、殺人罪ではなく業務上過失致死罪が適当と主張していた。

20日に行われた判決公判で、山口地裁の山本恵三裁判長は「被告は相手が死傷しても仕方がないという認識でクルマを進行させた」と認めた。被告側の「クルマが勝手に進んだ」という主張については「速度に関わらず、クルマで人の上を通過しながら、相手が無傷でいられると思う認識がおかしく、常識ではありえないことだ」と厳しく指摘した。その上で裁判長は「突発的な交通トラブルという短絡的な動機から残虐な犯行に至った」とも指摘し、被告に対して懲役10年の実刑を命じた。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース