1 | 格安ものには手を出すな! |
イタリア人にとってパスタは、「たかがパスタ、されどパスタ」である。
ボクが行きつけのディスカウントスーパーには、日本では絶対お目にかかれない無名ブランドの格安パスタが売られていている。我が家などは戸棚を開けると、そうした無名パスタの袋が雪崩の如く落下してくる。
ところがそうしたディスカウント店でもイタリア人は、格安ものの1.5−1.7倍の値段がするバリッラやデチェッコといったパスタを買う。
たしかに、ブランドものは、茹であがりのコシが違う。いや、それ以前に茹で上がりの香りからして違う。イタリア人にとってブランドものパスタは、日本人が「米はコシヒカリより落とせない」と言うのと同じなのだ。ケチってはいけないのである。
2 | パスタいろいろ |
パスタメーカーによっては、100種類以上の形のパスタを製造している。しかし、いわば標準型といえるパスタがある。その典型的なものが、スパゲッティとその細型であるスパゲッティーニ、ペンの形をしたペンネ、フジッリといわれる捩り形のものだ。
これらのパスタは、ブランドを問わず比較的安い。製造工程が簡単だからである。そのうえ、どんなソースでも絡まり加減が良い。したがって販売量が多いのでさらに安くなる。良好な経済の循環構造ができている。
その傍らで、凝った形のパスタも時折試みられる。その一例がカースタイリストとして知られるジョルジェット・ジウジアーロが80年代に考案したパスタである。ソースの絡み、コシ、茹で加減、そして生産効率を熟考したものという。製造元は量産パスタメーカーとして最高級といわれるヴォイエッロ社だった。残念なのは、もはや絶版となってしまい、ジウジアーロの作品展などでしかお目にかかれないことである。