【池原照雄の単眼複眼】想定以上に重い市況原材料の高騰

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【池原照雄の単眼複眼】想定以上に重い市況原材料の高騰
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◆業績最高でも「コストダウン」が消えたホンダ

発表が続いている自動車各社の第1四半期決算は、対ドルや対ユーロの円安もあって一部を除き業績は好調だ。しかし、各社の予想を上回る収益圧迫要因も顕在化してきた。原材料費の高騰である。とくに非鉄金属や稀少金属の価格上昇が重くのし掛かっている。一層の原価低減努力が第2クォーター以降、優先すべき経営課題となってきた。

「鋼材は予定に沿っているが、市況品のアルミや銅、貴金属類は想定以上に厳しいものがある」。19%の営業増益で、第1四半期としては過去最高の業績となったホンダだが、決算を発表した池史彦取締役の表情は今ひとつ冴えなかった。

営業利益段階の分析で、いつもは増益要因となる「コストダウン」が109億円のマイナスとなった。つまり、コストダウンでなく「コストアップ」である。ホンダは1999年度から四半期決算の詳細を公表しているが、「コストダウン」がマイナスになったのは初めてのことだ。


◆素材転換が難しい銅やレアメタル

同社のコストダウンは、VA(価値分析)などによる設計変更や現場の工程改善といった、いわゆる原価低減の成果と原材料費および労務費の変動を総合的に捉えて算出している。第1四半期のマイナスは、原価低減効果を原材料費と労務費の上昇が食いつぶしたことによる。

同様に、30%の大幅営業増益を確保したマツダの「コスト削減」(営業収支段階)も「原材料費の上昇」によって10億円のマイナスだった。日産自動車は上昇分を「原価低減でカバーして、少しおつりがきている」(田川丈二執行役員)という。日産の場合、世界販売が6%減少したことも、価格上昇の“吸収要因”になっているようだ。

市況品のアルミはエンジンブロックや高級車の車体、銅はラジエーターのほかクルマの神経系統に相当するワイヤーハーネスに多用されている。また、希少金属は排ガス触媒などに使われる。いずれも不可欠の原材料であり、素材転換も容易には進まない。


◆品質確保・労働安全を前提に原価低減加速

今期の自動車業界の業績リスクは、当初から(1)日本の金融政策変更による為替の円高進行、(2)原材料費の上昇、(3)原油高による原材料費上昇や販売車種ミックスの悪化---の3項目が挙げられていた。このうち、為替だけは逆方向に動いているが、残る2項目は確実に業績の下ぶれ圧力となってきた。

為替が比較的安定しているうちに、原材料費の高騰を可能な限り吸収する原価低減の取組み加速が急務だ。もちろん、品質や労働安全の確保を満たしたうえでの原価低減でなければ、リコール費用の増加といった負のスパイラルに陥り、意味をなさない。
《池原照雄》

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