3日の月曜日、イタリアでは、タクシードライバーによる全国規模のストライキが行なわれた。これは、タクシー営業をより自由化し、弾力的にする政令施行を阻止しようというもの。ここ数日内も各地で行なわれる見通しだ。
現在イタリアには、約5万人のタクシードライバーがいる。原則として個人で、営業権を買って始める仕組みである。ただし、タクシーの数は自治体ごとに決められているので、基本的に営業権を手放す廃業ドライバーがいないと、新しいドライバーは仕事に就けない。政令は、こうした規制枠を撤廃し、現状では自治体ごとに一律の料金もより弾力的にしようというものである。
今回のストライキはこうした改革に反対するもので、タクシー運転士たちは「新規参入による競争激化で、過酷な労働がよりきつくなる恐れがある。また、価格競争は結局顧客に不利になる」と訴えている。
いっぽう顧客の中には、彼らの訴えに理解を示す人々がいると同時に、「ミラノの人口に対するタクシー数は、スペイン、バルセロナの6分の1」といった現状が自由化によって改善されるのではと期待する声もある。
ストは各都市中央駅や空港のタクシー乗り場を中心に行なわれ、多くの乗客の足が乱れた。またトリノでは、ストに反対して営業していたタクシー運転士が、他の運転士から暴行を受ける事件も発生した。
タクシーの営業権は、実勢価格で1台あたり12万−14万ユーロ、大都市にいたっては20万ユーロに達する。家一軒並みの投資を回収すべく日夜走り回るドライバーに同情するか、既得権の防衛と見るか、難しいところである。