交際上のトラブルから相手の男性を故意にクルマでひき殺したとして、殺人罪に問われた29歳の女に対する論告求刑公判が20日、さいたま地裁熊谷支部で行われた。検察側は裁判所に対し、懲役15年を求刑している。
問題の事件は2005年9月24日に発生している。小川町腰越の駐車場で、女と激しい口論をしていた24歳の男性が、この女が運転するクルマにはねられて路上に転倒。クルマは男性めがけて急加速し、男性の頭を踏み潰して逃走した。男性は頭蓋骨折や脳挫傷で即死している。
警察では殺人事件として捜査を開始。目撃されていたナンバーから東秩父村内に在住する29歳の女が容疑者として浮上。翌未明に寄居町内の知人宅に潜伏しているところを発見し、殺人容疑で逮捕した。女は「男性をはねたことは間違いない」と認める一方、故意にはねたことについては否定していた。
この流れは公判が始まってからも同様で、被告弁護側は事件の発端を「不倫関係の清算を拒否した男性との口論」と位置付け、「死亡した男性が被告に危害を加えそうになり、そこから逃れようとして事故が起きた。被告は防御に終始しており、故意に危害を加えたわけではない」と正当防衛も合わせて主張していた。
これに対して検察側は「死亡した男性に対する被告の殺意は明らかであり、身勝手で自己中心的だ」として、裁判所に対して懲役15年を求刑している。