トンネル欠陥でショベルカー落下、市職員に禁固を求刑

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2004年10月に神奈川県横浜市戸塚区内の市道トンネルで発生したショベルカー落下事故について、トンネル構造の欠陥を知りながら対策を先延ばしにしたとして、業務上過失致死罪に問われた51歳の市職員の男に対する論告求刑公判が10日、横浜地裁で開かれた。検察側は禁固8カ月を求めている。

問題の事故は2004年11月30日の午前7時55分ごろ発生している。横浜市戸塚区戸塚町付近の国道1号線の下を通る市道トンネルで、31歳の男が運転する普通トラックが通過しようとした際、荷台に積んであった小型パワーショベルがトンネル入口付近に設置された高さ制限を示す金属製のゲートへ接触。

運転者はこれに気づくことなく進行したため、荷台から押し出されるようにして小型パワーショベルが落下。トンネル内を歩いていた65歳の男性が下敷きとなり、間もなく死亡した。

現場では高さ制限ゲートがトンネル手前で斜めに設置されており、これが構造的な欠陥となってゲートに接触したクルマがトンネル壁面の歩道側に傾斜してまうという特性を持っていた。実際の事故も2003年夏ごろから相次いで発生しており、近隣の住民はこの危険性をかねてから指摘。トンネルを管理する横浜市戸塚土木事務所に対して2回の陳情を行っていた。

ところが被告は「接触事故はドライバーの無謀運転が起因であり、緊急性はない」と判断して工事を先延ばしにしていた。警察では「職員が改修工事を独断で先延ばししたことが事故につながった」として、この職員を業務上過失致死容疑で書類送検。地検が同罪で起訴していた。

10日に横浜地裁(松尾昭一裁判長)で開かれた論告求刑公判で、検察側は「速やかな工事を実施していれば事故は発生しなかった」と改めて指摘。被告について「一切の工事も行おうとせず、上司・同僚への報告や相談もせずに放置した。過失責任は明らかだ」として、禁固8カ月の実刑を求めた。

《石田真一》

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