今年5月、宮城県多賀城市内で泥酔運転のRVが道路を横断していた高校生の列に突っ込み、27人が死傷した事故を起こしたとして危険運転致死傷罪に問われている26歳の男の公判が25日、仙台地裁で行われた。男はこれまでに検察側が主張してきた信号無視を否定している。
問題の事故は5月22日の午前4時15分ごろ、多賀城市八幡1丁目付近の国道45号線で発生している。左折待ちをしていた乗用車に赤信号を無視して進行してきた泥酔運転のRVが衝突。乗用車を押し出すようにして前方の横断歩道に突っ込み、横断していた高校生を次々にはね、27人が死傷した。
RVを運転していた26歳の男は事故の直前まで仙台市内などで飲酒を重ねており泥酔状態。事故現場まで居眠りが原因とみられる蛇行運転や信号無視が行われたと検察側は主張していた。
25日に行われた公判で、被告の男は事故直前までの飲酒を認めたものの、「出発する直前は足もふらついておらず、そんなに酔っていないと思った。多少危ないかもとは感じたが、気をつけて運転して帰れば大丈夫だと思った」などと証言。本人は泥酔状態と認知していなかったことを強調した。
目撃者証言がこれまでになされている信号無視については「警察や検察が言うような信号無視や急加速はしていない。酒の影響というよりも眠気によって青信号に変わったことに気づかず、発進が遅れたことはあったかもしれないが、事故の発生には普段よりも気を使っていた」と否定している。運転に至った理由については「運転代行を頼む金が無かった」と従前の証言を繰り返している。
また、検察側はこの日、被告の男が任意保険に加入していなかった事実を明らかにした。補償交渉の難航と、被告の交通事故に対する認識の甘さを強調するためになされたとみられている。