もっと重心が高く、重々しい動きを想像していたのだが、実際に新型『セレナ』を運転してみると、意外なほどスムーズに走ってくれた。
新型セレナに搭載される2リッターエンジンとエクストロニックCVTは、昨年発売された『ラフェスタ』に搭載されているものと同じだが、200kg近く重いセレナと組み合わせても、車重を感じさせない走りを見せてくれた。137psという最高出力は2リッターとしては平均レベルだが、CVTとの相性がよく実用域では意外に力強い。7〜8名の多人数乗車のときでもなければ、非力さを感じることはないだろう。
新型セレナの開発をとりまとめた日産自動車 商品企画本部 チーフ・プロダクト・スペシャリストの丸茂敬明さんは「セレナのエンジンはラフェスタと同じですが、多少低速からのトルクを重視したセッティングにしています。このエンジンなら、今までの2.3リッター並みのトルクを稼ぐことができますので、新型セレナは2リッターだけの設定としました」
「また、フットワークに関しても、極力自然なドライブフィールを目指しました。こういったタイプのミニバンですので、あまり運転を意識させるような乗り味にはしたくなかったのです。そのほうが、運転する人もリラックスできるのではないでしょうか」とコメント。
実際に新型セレナのフットワークは自然という言葉が似合う乗り心地だ。全高が高いので、多少はロールはするものの、ロールスピードは穏やかで一気にグラっと来るような恐さはない。ステアリング操作に対するレスポンスも、シャープすぎることなく、適度な応答性を持っている。ワンボックスタイプのミニバンなら、これぐらいの緩さがちょうどいいかもしれない。
もちろんクルマである以上、ある程度は運転しているという感覚は必要だが、それが強すぎると疲れてしまうし、運転に不慣れな人には恐さを与えてしまう。運転感覚を意識させない味付けという丸茂さんの狙いは、うまく新型セレナに反映されている。(つづく)