1トン超の古紙束、固定せず…運転手に実刑

自動車 社会 社会

今年1月、福島県原町市内で、走行中の大型トレーラーから古紙の束が複数落下。対向車線を走行中のクルマを直撃し、1人を死亡させたとして、業務上過失致死の罪に問われた49歳の男に対する判決公判が13日、福島地裁で行われた。

裁判所は被告に対し、懲役2年6カ月の実刑を言い渡している。

問題の事故は今年1月31日に発生している。同日の午後7時25分ごろ、原町市北泉付近の市道を走行していた大型トレーラーが緩やかな左カーブを曲がりきれずに横転した。

この弾みで荷台に搭載していた古紙の束(1個あたりの重さ約1トン)数個が対向車線側に転がり、たまたま通り掛かった33歳の女性が運転する乗用車の真上に落ちていった。

古紙束に直撃された乗用車は大破。運転していた33歳の女性が外傷性ショックなどが原因で即死し、トレーラーを運転していた49歳の男も全身を打撲する重傷を負った。

その後の調べで、事故を起こした大型トレーラーは制限速度(40km/h)を大幅に超える速度で走行していたことが判明。約20個が搭載されていた古紙はロープなどで荷台に結束する措置も取られていなかった。

13日に行われた判決公判で、福島地裁の大沢広裁判官は「被告は家庭の事情で帰路を急ぐあまり、制限速度を大幅に超えた状態で走行した」と指摘。

その上で「古紙の束はひとつあたりが1トンを超えていたにも関わらず、これを荷台に固定する措置も怠り、速度超過状態でカーブに進入した結果、バランスを崩して対向車線側に古紙を落下。たまたま通り掛かった女性を死に至らしめた」と認定した。

さらに「被告の無謀で軽率な運転態度によって命を落とした被害者の無念さ、遺族の悲しみは深い。これを考えれば刑事責任は極めて重大としか言いようがない」として、被告に対して懲役2年6カ月の実刑を命じた。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース