被害者を引きずった男に殺意、実刑判決

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昨年7月、福岡県北九州市八幡西区内で、路上に寝ていた男性をはね、クルマ底部に挟み込んだこの男性を振り落とすために蛇行運転を繰り返したとして、殺人未遂罪に問われた30歳の男に対する判決公判が11日、福岡地裁小倉支部で開かれた。

裁判所は懲役3年6カ月の実刑を命じている。

問題の事故は2004年7月10日に発生している。

同日の午前3時ごろ、北九州市八幡西区別所町付近の市道で、酒に酔って道路で寝ていた38歳の男性がクルマにはねられた。男性は約250m離れた場所まで引きずられ、左肩や頭などの骨を折る全治3カ月の重傷を負った。

男性をはねたクルマは現場から逃走していたが、事故から約1時間後に現場に戻り、検証作業を行っていた警察官に対して「自分がはねたかもしれない」と29歳(当時)の男が供述。

クルマに事故の痕跡が確認されたため、業務上過失傷害と道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕していた。

取り調べで男は「「飲酒運転だったし、免停になるのを恐れて逃げてしまった」と供述したが、その後の調べで男性を引きずった際に蛇行を行っていたことが新たに判明。男も「相手が死ぬかもしれないと認識しながら、40km/hぐらいの速度で蛇行運転を行った」と容認。

検察では被害者を引きずったまま、それを振り落とす目的で蛇行運転を行った行為は「未必の殺意」に当たるとして、業務上過失ではなく、殺人未遂として扱うのが適当であると判断。同罪での追起訴に踏み切っていた。

11日に行われた判決公判で、福岡地裁小倉支部の若宮利信裁判長は「飲酒運転による事故の発覚を恐れた自己保身的な考えによる犯行だった」と指摘した。

その上で「被害者を車両底部に挟み込んだまま走行を継続するという行為は、被害者を死に至らせる危険が極めて高い行為であり、被告人には殺意が認められる」として、未必の殺意が成立するとして、懲役3年6カ月の実刑判決を命じた。

《石田真一》

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