弟分である『CTS』に続き「ニュルブルクリンクの旧コースで鍛えた」というフットワークは、なるほどひと昔前までの“アメ車”のそれとは大きく異なる印象の持ち主。
アクセルワークに関わらずステアリングフィールは不変だし、接地感やトラクション能力にも不満を覚えることがない。ハンドリング的にはむしろV6モデルのほうが素直さでは上。50kgほどになる前軸荷重の差が、そうした印象を生み出しているに違いない。
驚いたのは“エントリー・モデル”たる6気筒モデルの加速感で、最高出力値で60ps以上もの開きがある8気筒モデルに対してもさほどの大きなハンディキャップを感じず、むしろ「これでじゅうぶんではないか」と思わせるほど。こうした印象には6速化されたATの助けも大きいはず。
いっぽう、そうした活発な走り味に対して、静粛性や乗り心地のしなやかさは『キャデラック』というイメージからするともう一歩の洗練度が欲しい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆☆
インテリア/居住性:★★★☆☆
パワーソース:★★★★☆
フットワーク:★★★☆☆
オススメ度:★★☆☆☆
河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。愛猫家なのに猫アレルギーが発症し、このところ辛い毎日……