保険金目当ての自殺幇助、高裁も実刑

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自殺を決意した実父の背中を押して車道に突き飛ばし、走行中のクルマと衝突させて死亡させたとして、自殺幇助罪に問われた40歳の男に対する控訴審判決公判が18日、大阪高裁で開かれた。

裁判所は一審の判決を支持。被告に対して懲役3年の実刑を命じている。

この事件は2003年3月9日未明に発生している。同日の午前1時ごろ、京都府京都市下京区五条通新千本東入付近の国道9号線で、当時68歳の男性が車道に突然飛び出してきて、走ってきた乗用車と衝突。男性は病院に収容されたが、全身を強く打っており、間もなく死亡した。

当初は通常の交通事故として扱われたが、男性をはねたクルマのドライバーは「男性が横から飛んできた」と供述。さらには対向車線で事故の瞬間を目撃したドライバーが「被害者の男性は何者かに強く突き飛ばされ、車道に転倒したように見えた」と供述するなど、事故としては不自然な点が明らかになった。

事故発生を通報したのは男性の長男にあたる人物だった。後の調べで死亡した男性には多額の保険金が掛けられていることが判明し、死亡した男性は自らの借金を死亡保険金で穴埋めすることを長男らに提案したこともわかった。

事故の状況からも長男が男性の自殺を幇助した(車道に向けて押し出した)疑いが濃くなったとして、警察では長男を自殺幇助容疑で送検。検察も同罪で起訴していた。

一審の京都地裁では、事故を起こしたドライバーなどの目撃証言を全面的に採用。被告となった男の行動からも「計画性があった」と認定し、懲役3年の実刑判決を言い渡していた。

被告側はこれを不服として控訴。舞台を大阪高裁に移して公判が続けられていた。

18日の控訴審判決公判で、大阪高裁の近江清勝裁判長は、改めて目撃者証言に触れて「被告が被害者の背中を押し、車道に突き飛ばすところを目撃したという証言は信用できる」とした。

その上で「保険金を得る目的で、自殺幇助が行われたと認定できる」として、一審の京都地裁判決を支持。被告に対して懲役3年の実刑を命じている。

《石田真一》

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