バイクを強奪する目的で故意に追突事故を起こし、乗っていた2人を死傷させたとして強盗致死傷などの罪に問われた18歳の少年に対する判決公判が4日、大津地裁で開かれた。裁判所は被告の少年に対して懲役13年の実刑判決を命じている。
問題の事件は2004年6月23日に発生している。同日の午前2時40分ごろ、大津市晴嵐1丁目付近の県道で、走行していた2人乗りのバイクに対し、後方から接近してきた乗用車が側面から衝突してきた。
クルマとの衝突によって、バイクは歩道側に弾き飛ばされ直後に転倒。乗っていた2人が路上に投げ出された。クルマも歩道に乗り上げる状態で停止。乗っていた複数の男はクルマを放置し、その場から走って逃走した。
バイクに乗っていた2人は近くの病院に収容されたが、17歳の少年が肩の骨を折る全治3カ月あまりの重傷。頭を強打したことで事故直後から意識不明だった16歳の少年は事故から約1カ月後に意識を回復しないまま死亡している。
現場に放置されたクルマから京都府城陽市内に住む少年2人の指紋が検出され、この2人が事件に関与したと判断。強盗致死傷容疑で逮捕・起訴されて家裁で少年審判を受けていたが、罪状が悪質と判断されて検察官送致(逆送)となり、地検が通常起訴していた。
従犯の17歳少年に対しては、「バイクを奪うという考えは主犯格の少年の発意、主導によるもので、被告の少年は主犯格の少年に恐怖感を抱き、その指示に逆らえなかった」などとして、刑事処分ではなく保護処分相当と判断。移送された家裁において中等少年院送致が決定されている。
4日に開かれた判決公判で、大津地裁の大西良孝裁判長は「被告にはバイクを奪うという目的のためには他者の生命や身体をも意に介さないという、顕著な態度が認められる」と厳しく指摘した。
その上で「被告は犯行に至る過程で従犯の少年を積極的に主導しており、その責任は大きい。引き起こした結果も重大で、保護処分をもって更生を図ることを期待する範疇を超えている」として、懲役15年の求刑に対し、懲役13年の実刑判決を命じた。