スバルは58年に『スバル360』を世に送り出した「軽自動車の老舗」だが、スバルの歴史を見ると軽自動車のラインナップを大きく広げたことはほとんどない。
とくに乗用モデルではスバル360以降、初代『R-2』、『レックス』、『ヴィヴィオ』、『プレオ』と、車名を変えながら1モデルのみを展開させてきた。
が、2003年に現行『R2』がデビューした後もプレオが併売されて2モデル体制に。そして今回の『R1』発売(販売開始は1月4日。発表は12月24日)で、乗用車だけで3モデルを展開するに至ったのである。
3モデル展開となった理由としては、もちろん「ユーザーのニーズの多様化に対応するため」(スバル関係者)ということもあるが、理由はそれだけではない。
スバルは現在、スバルブランドの価値向上に取り組んでいる。「そのためにはメッセージ性の強いモデルが必要なんです」(スバル関係者)。『レガシィ』などの上級モデルも手がけるスバルにとって、軽自動車はボトムエンドだが、R1はそうしたクラス分けを超えて、スバルのブランドアイデンティティをアピールためのモデルでもあるという。
「質実剛健がウチの身上。理にかなったエンジニアリングのクルマ作りという路線は変えない」(竹中恭二社長)というスバルだが、「R1とR2は、合理主義を少し弱めてスタイリングデザインを優先させるといった試みもあった」(スバルのエンジニア)。スタイリング優先型のR1は、スバルのラインナップの中ではスペシャリティカー的な役割も担う。
単なる3つ目の軽モデルというよりは、スバルの提案するクラスレスモデルがたまたま軽自動車規格だったという風合いが強い。