ストーカー殺人で懲役18年判決…被告は暴言で退廷に

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ストーカー行為が発展、集団で登校中の小学生児童にクルマで突っ込み、12人を死傷させたとして傷害致死などの罪に問われた55歳の男に対する判決公判が30日、京都地裁舞鶴支部で開かれた。

裁判所は被告の男に対して懲役18年を言い渡している。男は判決前に不規則発言を繰り返し、退廷させられている。

問題の事件は2002年1月21日に発生している。京都府綾部市神宮寺町加迫付近の市道で、集団登校するために歩いていた小学生12人の列にワゴン車が突入。児童を次々になぎ倒し、小学2年生の男児1名が死亡、11人が重軽傷を負った。

当時は運転ミスによる偶発的な事故と思われたが、事故を起こした容疑者は被害に遭った児童の母親(当時33歳)にストーカー行為を繰り返していたことが判明した。

この母親は容疑者は度々嫌がらせを受けており、すでにストーカー行為の域に入っていた。このため、事故についてもストーカー行為の延長上にあったと警察は判断。業務上過失致死傷ではなく、傷害致死傷容疑で送検。検察も同罪で起訴していた。

被告側はこれまで公判で「事故は故意ではなく、腰が痙攣したためにハンドル操作を誤るなどして偶発的に起きた」などと主張。本人の刑事責任能力についても否定してきた。

これに対して検察側は「被告はストーカー行為を行っていた女性に対する危害を加えることを目的として、故意に事故を起こした」、「急ハンドルで列に突っ込んだことからも衝突回避の措置を取っていないことは明白で、故意に突入したと認定できる」と主張。真っ向から意見が対立していた。

11月30日に行われた判決公判で、京都地裁舞鶴支部の新井慶有裁判長は死傷した12人の中に被告がストーカー行為をしていた女性の子供が含まれていたことに触れた。

「被告はこの子供に向かって一直線にクルマを進行させており、しかも事故後に負傷者の救出を行おうとしなかった。このことからも事故は偶発的に発生したものではなく、被告自らがストーカー行為を行っていた女性に対する“意趣返し”の一環で行ったものだ」と厳しく指摘した。

その上で「何の罪もない子どもたちを巻き添えにするという自己中心的かつ無差別で冷酷な凶行だった」と述べ、被告に懲役18年を言い渡している。

なお、被告はこれまでの公判において、検察側に対して「検察はしつこい」などの不規則発言を繰り返していることから、この日も同様の発言が行われると予想。判決公判では「懲役18年の実刑」という主文の読み上げが先になされている。

しかし、被告は直後から大声での暴言を繰り返して行い、結果として裁判長から退廷を命じられ、判決理由の部分については聞いていない。

《石田真一》

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