【山陽道夜行高速バス炎上】その2…白煙が炎に

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【山陽道夜行高速バス炎上】その2…白煙が炎に
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14日未明、兵庫県内の山陽自動車で夜行高速バスが分離帯に接触、全焼する事故が発生した。乗り合わせた読者がレポートを寄稿! 大きいハンマーで殴られたような感じで目を覚まし、車外に出ると路面がなぜか濡れていた。

 ………………

車外に出た直後、「そうだ荷物だ」と思い出しすぐさま車内に戻った。車内は白煙が立ち込めていたはずだったが、カーテンが閉じられ真っ暗であったため、煙がどの程度立ちこめていたのか全く判らなかった。

手探りで荷棚のデジタル一眼の入ったバック、財布などが入った背負いバックなどを、さらに液体に素足で突っ込んだのを思いだして靴を、そして窓際のハンガーに掛けていた服を持ち出そうとした。ハンガーのまま持ち出せば良かったものを、なぜか丁寧に外した。それとさっきまで足に掛けていた毛布もあわせて、両手で抱えて車外に飛び出た。

車外に出るとき、運転席を見ると人影があった。運転乗務員だ。しきりに「名簿! 記録明細! 無い無い」と叫んでいた。名前、電話番号、席順が記載されていた書類を指すものらしい。乗客の人数確認には必要だろう。

すでに車外に出ていた乗客は一カ所に固まり、ただバスを見ていた。乗客で降りたのは筆者がおそらく最後か、それに準ずる順番だったろう。水たまりを素足で歩いて荷物を抱えて乗客が固まっている所に行き、バスを振り返るともうもうと白煙が立ちのぼっていた。

しかし火は見えない。そこで手持ちの荷物を路肩に置き、道路上の液体を走って再びバスの方に戻った。目的はバスの左中央にある床下荷物室にある荷物の回収だ。大破した右側とは違い、荷物室のある左側面には損傷はないように思えたが、相当の白煙が立ち込めていた。

荷物室の跳ね上げ式扉を乗務員とおぼしき紺色のスーツを着た人が閉めようとしたのを押さえると、スーツの人に「そこは違う」と言われた。なるほどそこは乗務員の仮眠室だった。荷物室はその隣、もっと後ろだった。

真っ暗な中、自分の荷物を探した。すでにバスの廻りの路面は水とおぼしき液体でびちゃびちゃになっていた。荷物を回収し、乗客が避難している場所に戻ると、路肩に置いた荷物は流れて来た液体に浸かっていた。

当初、この液体はトイレやお茶に使う、バスに備え付けられた水槽から出た水だと思っていた。しかしサラサラとした手触り。そこでこの液体が水ではなく、バスの燃料、軽油だと気づいた。

車体からの白煙はちろちろとした火になっていた。場所は右前輪があったあたりからだ。右前輪は完全にもぎ取れごっそりと欠けていた。乗務員が消火器で消火しようとしている。

この頃、避難している乗客、とくに女性から荷物を心配する声がし始めた。筆者もだんだんと客観的にものを見られるようになり、初めて耳栓をしていたことを思いだした。荷物室に格納されていたものはどうやら乗務員が外に出したらしい。

ここに来て携帯電話で110番通報をすることを思い出した。バックから携帯を出す。しかし電源が入らない。バックも携帯も軽油でてらてらと光っていたので一瞬、軽油で部品が駄目になったかと思ったが、すぐに電源スイッチを切っていたことを思い出す。スイッチを圧し続ける。液晶に電源が入るまでが何ともじれったい。

つづく

《レスポンス編集部》

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