うっぷんを晴らすためにバスジャック、男に懲役を求刑

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今年8月、北海道江差町内で路線バスを乗っ取り、運転手を刃物で脅したとして強要の罪に問われた50歳の男に対する初公判が27日、函館地裁江差支部で開かれた。男は起訴事実を全面的に認めている。

問題の事件は8月12日に発生している。同日の午後5時15分ごろ、江差町伏木戸町付近の国道227号線を走行していた函館バスが運行する大成学校前発江差ターミナル行きの路線バスが乗客を装って乗り込んだ男に乗っ取られた。

当時このバスには、男と運転手の2人しかいなかったが、男は37歳の運転手に刃物を突きつけて「函館に行け。止まったら殺す」などと脅迫。運転手はこれに従うかたちで函館方面に向かって走行した。

このバスが向かうはずだった江差ターミナルでは、バスが予定時刻の17時40分を過ぎても到着しないことから不審に思い、営業所が無線を使って連絡を試みたところ、運転手ではない人物が「このバスは今、俺が乗っ取っている」などと宣言。慌てて警察に届け出た。

警察ではパトカー約10台を出動させてバスの行方を追っていたが、午後6時30分ごろにバスを発見。進路を塞いだ上で近くの公園に誘導し、直後に警官が突入して男の身柄を取り押さえた。運転手にケガはなかった。

男は当時泥酔に近い状態で、警察では強要容疑で逮捕。検察も同罪で起訴していた。

27日に開かれた初公判で、被告の男は起訴事実を全面的に認めるとともに、「酒を飲んだらいらいらしてきた。鬱憤を晴らしたかった」と、バスジャックに至った動機を陳述している。

検察側は「自らの鬱憤を晴らす目的にバスを乗っ取る行為は悪質」として、裁判所に対して懲役1年6カ月を求め、即日で結審している。

《石田真一》

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