救助を求めた相手は…盗んだクルマの持ち主

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神奈川県警は26日、運送会社の駐車場から乗用車を盗み出したとして、55歳の男と36歳の女を窃盗容疑で逮捕した。盗んだクルマを運転している際に脱輪事故を起こし、通り掛った人に救助を求めたが、これがクルマを盗まれた会社の役員だった。

神奈川県警・相模原署によると、窃盗容疑で緊急逮捕されたのは、住所不定無職の55歳の男と36歳の女。この2人は自分の住む場所を確保する目的で、今年9月17日の午前、相模原市内の運送会社から乗用車1台を盗み出した疑いが持たれている。

運送会社は警察に被害届を出したが、クルマの行方はわからないまま。ところが26日の夜に思わぬかたちでこのクルマが発見された。

同日の午後7時30分ごろ、この運送会社で役員を務める52歳の男性が相模原市田名付近の農道を通り掛かったところ、前方で畑に脱輪しているクルマを発見した。

クルマに乗っていた男女から救助を求められたため、男性がこのクルマに近寄ったところ、これが約1カ月前に盗まれた自分の会社のものであることに気づいた。

男性は「引き上げに必要になるかもしれない」と言い、自分のクルマを前部に移動させて逃走を困難にした上で、「近くに会社がある。人手が必要みたいだから助けを呼ぶ」として会社に連絡。

社長など2人が到着した段階で男女の身柄を拘束し、近くの交番に「クルマを盗んだ犯人を捕まえた」として届け出た。警察ではこれを受け、2人の男女を緊急逮捕している。

クルマが盗まれた会社と脱輪事故の現場は約2kmしか離れておらず、盗んだ本人もどこで盗んだのか忘れていたとみられる。

2人は運送会社の社長から「あんたも本当に運が悪いね」と言われても、その意味には気がつかずに「そうですね、こんなところで脱輪するなんて…」などと言っていたようだ。

関係者は「こういう偶然もあるのか」と、驚いているという。

《石田真一》

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