運転していたのは生存した友人…最高裁も支持

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原付バイクが転倒、2人が死傷した事故について、死亡した女性の両親と生存した友人の女性との間で、誰が運転していたのか争われていた裁判で、最高裁は19日、当初警察が同乗者とした友人の女性が運転していたと判断した。

事故で死亡した当時16歳の女性の両親が、「事故当時に運転していたのは警察が同乗者と判断していた友人の女性だった」として、友人女性を相手に損害賠償を求めていた裁判で、最高裁第3小法廷は19日、友人女性側の上告を棄却した。

これによって、二審の福岡高裁が友人側に命じた1000万円の賠償命令が確定することとなった。

問題の事故は1997年4月26日の午後11時ごろに発生した。福岡県久留米市国分町付近の市道で、少女2人が乗った原付バイクが左カーブを曲がりきれず、そのまま直進するようにして民家のブロック塀に突っ込んだ。

衝突の衝撃で乗っていた2人は路上に投げ出されて転倒。1人は頭を強打して5日に収容先の病院で死亡、もう1人も右大腿骨を折る重傷を負った。

死亡した少女の両親は、生存した友人に対して事故当時の状況を尋ねたが、友人はこれに対して「事故当時のことは覚えていない」という発言を繰り返していた。

ところが警察の取り調べに対しては、覚えていないはずの事故状況を詳細に説明。警察はこの供述に基づき、同年11月までに被疑者死亡のまま、死亡した少女を業務上過失傷害容疑で書類送検している。

だが、死亡した少女の両親は、この友人が「覚えていない」と言ったことを警察に話していることや、別の人物に対して自身をさらに擁護するような細部の違う発言をしていたことを知り、「運転していたのは生存した友人だった可能性が高い」として提訴していた。

一審の福岡地裁久留米支部は「死亡した女性の骨盤にはハンドルが当たった際に出来たと思われる傷が左右ほぼ同じ位置にあった」として、死亡した少女が運転していたと認定した。

しかし、二審の福岡高裁は判決の理由とされていた、死亡女性のこの骨盤打撲痕について「警察の調書にはその旨の記載が無い」として却下。

これに対して、友人の骨折部位に関しては、「右足の局部に何かが当たるなど、大きな力が加わった結果としか考えらず、これは運転中に計器盤やハンドル部分と衝突したと考えるのが自然である」とも指摘。

最終的に運転者が生存女性であると認定し、二審では、死亡した少女の両親側が請求していた1000万円の支払いを命じる逆転判決となった。

友人側はこれを不服として上告していたが、最高裁第3小法廷は二審の福岡高裁判決を支持。上告を棄却する決定を行っている。これによって賠償責任は確定したことになる。

《石田真一》

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