追突された側の責任が重い…異例の判断

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広島県警は27日、今年6月に広島県広島市内の山陽自動車道で発生した追突事故について、事故発生の原因は追突された側(前走)のトラックが高速道路での最低速度を下回る約40km/hで走行していたことが原因と断定した。

広島県警は、このトラックを運転していた43歳の男を業務上過失致死容疑で書類送検した。

また、このトラックに追突したトラック(後走)を運転していた26歳の男を業務上過失傷害容疑で被疑者死亡のまま書類送検している。

広島県警・高速隊によると、事故は今年6月18日に発生している。同日の午前2時50分ごろ、広島市安佐南区沼田町大塚付近の山陽自動車道上り線で、42歳(当時)の男性が運転する大型トラックに対し、後続の大型トラックが追突した。

後続のトラックは運転席部分が大破。運転していた男性を現場で振り落とし、無人のままで約80km/h程度の速度を維持したまま走り続けた。

トラックはその後も約2.3kmを無人で走行。広島市安佐南区沼田町伴付近で道路左側ののり面に突っ込み、横転しているところを発見されている。

警察では追突事故によって運転席を破壊したトラックのアクセルが戻らなくなるなどの状態になり、運転者を振り落とした後も衝突直前の速度を維持したまま走り続けたと推測。

追突した側のトラックを運転していた男性が死亡、前走していたトラックの運転手は軽傷を負っている。

警察では車両の検証を進め、後続のトラックの損傷が著しいことから、速度差のない通常走行での追突ではなく、著しい速度差が生じていたとほぼ断定した。

大型トラックが著しい高速度で走行することは考えにくいことから、前走のトラックを運転していた男を追及したところ、「事故を起こした現場の周辺で道に迷ったことがあり、表示板をよく見ようと低速で運転した」と自供した。

後の調べで、前走車は事故当時に高速道路の最低速度である50km/hを10km/h下回る、40km/hで走行していたことがわかった。後続のトラックは80−90km/h程度で走行しており、速度差に気づかないまま追突した可能性が高くなった。

警察では「追突した後走側よりも、下限速度を下回る速度で走行していた前走車の責任がより重い」として、男を業務上過失致死容疑で書類送検。後走のトラックを運転していた男は前走車のドライバーを負傷させたとして、被疑者死亡のまま同傷害容疑で書類送検されている。

追突事故で前走側の過失を重く判断するのは異例の処置だという。

《石田真一》

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