「記事にしてやる」と叫んだ記者、違反事実を認める

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夜間の車両通行が禁止された道路にクルマで乗り入れ、道路交通法違反(通行禁止違反)の罪に問われた29歳の新聞記者の男に対する初公判が22日、宮崎地裁で開かれた。

被告はこれまでの態度を一変させて起訴事実を全面的に認めたが、メディアの力を悪用しようとしたとも受け取れる発言を行った被告の横暴ぶりを検察側が暗に指摘するなど、異例の展開となった。

宮崎県警・宮崎北署によると、問題の事件は2003年10月25日に発生している。同日の午前3時ごろ、宮崎県宮崎市広島1丁目付近にある夜間(午前1-4時)の車両通行が禁止された市道に29歳の新聞記者の男が運転する乗用車が乗り入れたのを、パトロール中の同署員が発見。その場で取り締まりが行われた。

この道路はハント族対策のために夜間の車両通行禁止となった経緯があるが、男は「この市道を夜間通行禁止にするのはおかしい」と猛反発。

不満は警官の対応にも向かい、「自分はハント族ではなく新聞記者だ。ハント族ではなく、一般市民だぞ」と繰り返し、さらには「今回の一件は新聞の記事にさせてもらうからな」と、脅しとも受け取れる言動を繰り返したという。

男は交通違反キップへの署名を拒否することはもちろん、受け取りも拒否。反則金の納付もせず、警察からの再三に渡る出頭要請もすべて無視した。男は東京本社に異動となったが、警察では「容疑が悪質」として今年5月に書類送検。同8月に宮崎地検が起訴していた。

22日に行われた初公判で、被告となった男はこれまでの態度を一変し、起訴事実を全面的に認めた。ただし、その理由は「上司から注意されたから」と被告本人が述べている。

検察側は冒頭陳述の際、被告がこれまでにも速度超過や信号無視の違反を繰り返し、違反点数累積で過去2回の免許停止処分を受けていた事実を明らかにした。

そして「過去の処分歴からも明らかなように、被告は順法精神が鈍麻していると言わざるをえない。警官に暴言を吐き、不合理な主張を行うなど、思い上がっているような態度に終始した」として、男がマスコミ従事者としての立場を利用して違反逃れをしようとしていたことを暗に指摘した。

なお、検察側は罰金7000円を求め、即日で結審している。

《石田真一》

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