このところよく見る夢がある。それは自分が中学生だったころのもの。とくに修学旅行で歩き回った京都や奈良のことをしばしば思い出す。遠出をすることが珍しかった自分にとって、見知らぬ街の情景は鮮明に覚えている。
そんな夢を何度も見るうちに、あの街がもう一度眺めたくなった。そう思うといても立ってもいられなくなり、ストラーダ『HDS950』を相棒として、深夜の高速道路を西に向かった。
再生したCDをハードディスク(HDD)内に次々とリッピングしていく機能を持つHDS950は、これまでのように大量のCDを持ち歩く必要もなくなった。エンターテイメントバンクに日ごろから詰め込んでいるお気に入りの曲を連続再生させつつ、ドライブするというのは楽しいものだ。ゆったりとした気分で東京から500kmのクルージングを続け、朝を迎えるころには京都に着いていた。
HDS950は「スーパーファインビジョン」と呼ばれる7v型のVGAモニターを採用している。京都市街に入ると細い道が増え、目的地はその細い道を突き進んだ場所にあるというのも珍しくはない。だが、HDS950の画面は非常に細かく、そしてルート案内も適切なので土地勘のない場所で曲がるポイントを間違えずにすむ。初めて走る道路を使い、目的地までダイレクトに走ることができる安心感というのは大きい。観光地に近づくと簡単なガイダンスを案内する機能もあり、京都のような街では大変便利だ。
最初に向かったのは龍安寺。続いて仁和寺、銀閣寺と回った。中学生のころの自分には理解できなかった美しい庭園のある場所ばかりだ。縁側にはあの日の自分と同じように、あくびをしながら、つまらなそうな表情で庭を眺める中学生の姿があった。携帯電話の内蔵カメラで写真を撮っていることがあのころとの唯一の違いか……。HDS950にはSDカードを介してHDD内にJPEG画像を取り込むこともできる。自分も中学生にならい、携帯電話で写真を撮ることにした。
庭園を眺めることで心が癒されるという感覚はあのころには理解しえなかった。それがわかるということは、自分も大人になったという証なのか……。気がつくともう夕方近くになっていた。クルマを嵐山に移動させ、川を眺めながら缶コーヒーを飲む。
本当によいものは何か。それは時を経ないとわからないものなのかもしれない。今までいろいろなカーナビを相棒としてきたが、HDS950は現時点で最高の相棒といえる。使っていることでストレスを感じないナビというものが、こんなに素晴らしいとは思わなかった。