岩手県警は22日、今月14日に岩手県宮古市内で、濃硫酸を運搬中の大型タンクローリーからこれが飛散し、小学生2人の着衣などに穴が開くという被害が出ていたことを明らかにした。失明するおそれもあったことから、宮古保健所が運送会社に対しての行政指導も行っている。
岩手県警・宮古署によると、問題のトラブルが発生したのは14日の午後3時30分ごろ。宮古市藤原の宮古港・藤原埠頭付近の貯蔵タンクから、同市内の工場に向けて濃硫酸10トンを大型タンクローリーで輸送していた運送会社から「タンクから濃硫酸10-20リットルが漏れ、国道45号線の約1km区間で飛散させてしまったらしい」との通報が寄せられた。
肌に触れた場合、重度の薬傷を起こしたり、目に入った場合は失明する危険性も高いことから、警察では消防と保健所にも連絡。タンクローリーが走行したコース沿いに中和剤を散布するなどの処理を行った。
しかし、処理を開始した直後の午後4時ごろ、タンクローリーが走行したコースに含まれる市道を自転車で走行していた小学生が、道路のわだちに溜まった濃硫酸を跳ね上げ、着衣やデイバッグなどに穴を開ける被害を出していたこともわかった。幸いにも負傷はなかったが、重大な事故に発展する可能性もあった。
事故の原因はタンクの蓋が完全に閉まっていなかったことで、警察では運送会社の責任が重いと判断。21日までに宮古保険所が運送会社に対して行政指導を行ったという。
道路ではこうした危険な薬品が日常的に輸送されているが、今回のトラブルは過失による健康被害が身近に存在するということを改めて警鐘する事態となった。