20日午前、島根県木次町内の山間部で、タクシー運転手が乗客を装って乗り込んだ男に現金を奪われる事件が起きた。運転手は隙を見てクルマを発進させ、男を山中に取り残したまま下山。途方に暮れた男は自ら警察に通報、強盗容疑で逮捕されている。
島根県警・木次署によると、事件が起きたのは20日の午前10時40分ごろ。松江市内から65歳の男性の運転するタクシーに乗客を装って乗り込んだ若い男が、木次町平田付近の山中に到達した際、運転手に刃渡り約16cmの包丁を突きつけて「カネを出せ」と脅迫した。
運転手は男の指示に従って現金4000円を手渡したが、額が少ないことに男は激怒。クルマから飛び出て運転席側に向かおうとした。
しかし、運転手は男がタクシーから降りた瞬間に急発進し、男を山中へ置き去りにした。運転手はそのまま逃げ続け、付近の駐在所に事件を届け出た。
山中に置き去りにされた男は自分がいる場所もわからず、途方に暮れたのか携帯電話を使って自ら警察に通報。約30分後に駆けつけた警察官によって強盗容疑で逮捕された。
男は大阪市内に住む19歳の少年で、島根県には職探しのために訪れていたという。しかし、所持金が底をついたことから強盗を決意。犯行に及んでいた。
警察の取り調べに対し、男は「ああいう展開になるとは思わなかった。山の中に取り残されたのが夜じゃなくてよかった」などと話しているという。