気持ちがいい…悪夢のような事故を起こした被告の言い訳

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今年4月、酒や睡眠障害改善剤、精神安定剤を大量に服用して無免許のままクルマを運転し、4人が死傷する事故を起こしたとして、危険運転致死傷罪に問われた65歳の男に対する初公判が17日、前橋地裁で開かれた。被告は起訴事実を全面的に認めている。

問題の事故は今年4月20日に発生。午後3時40分ごろ、群馬県太田市内ケ島町付近の市道で、65歳の男が運転するクルマがトラック2台と相次いで衝突。

それでもクルマは止まらず、80km/h近い速度で走り続けて前方を走る軽ワゴン車に追突し、これを対向車線側に押し出して別のクルマとの正面衝突事故を誘発させた。また、追突したクルマもさらに別のクルマと衝突。横転してようやく止まった。

この事故で軽ワゴン車を運転していた55歳の男性が死亡。衝突事故を起こした残る3台に乗っていた3人も軽傷を負っている。

警察ではクルマを運転していた男を業務上過失致致死傷容疑で逮捕したが、後の調べでこの男が事故当時に酒と一緒に大量の睡眠障害改善剤、精神安定剤を服用していたことがわかった。

男は手持ちの睡眠障害改善剤が無くなったため、これを貰いにいくために病院に向けてクルマを走らせようとしたが、当時は酩酊状態でクルマの運転どころか、たって歩けない状態だった。

警察では容疑を薬物要因の危険運転致死傷に切り替えて送検。検察も同罪で起訴していた。

17日に前橋地裁で開かれた初公判で、検察側は事故当時の被告が「前もよく見えず、手元も足元もおぼつかない状態だった」と指摘。以前から向精神薬などの大量服用を続けていたことを指摘した。

また、昨年8月にも無免許運転中に当て逃げ事故を起こし、懲役1年(執行猶予4年)の判決を昨年10月に受けていたことも検察側は明らかにしている。そしてそれ以前にも無免許運転で2回、酒酔い運転で1回、酒気帯び運転で3回検挙されているなど、被告に遵法意識が欠けていることも指摘している。

被告は起訴事実を全面的に認め、大量服用の理由については「飲むと気持ちよくなった」と、常習性を伺わせる供述も行っている。これに対して検察側は「いつ、どれだけの量の酒と薬を飲みましたか?」という問いを行っているが、被告は「事故前後のことはわからない、記憶にない」として回答を拒む場面もあった。

裁判は今後も継続される。

《石田真一》

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