夫婦が法廷で責任なすりあい…運転していたのは誰だ? 

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乗用車を運転中に対向車線にはみ出し、順走してた別のクルマと衝突し、運転者を死亡させたとして業務上過失致死罪に問われていた50歳の女に対する公判が26日、青森地裁八戸支部で行われた。

女は初公判で「運転していたのは自分ではなく、夫だった」と主張しており、今回の公判では夫が証人として陳述。関与を否定している。

問題の交通事故は2000年12月5日に発生している。同日の午後11時30分ごろ、青森県八戸市櫛引付近の国道104号線で、乗用車が凍結した路面でスリップして対向車線に逸脱。順走していた軽ワゴン車と正面衝突した。この事故で軽ワゴン車に乗っていた58歳の男性が事故の翌日に急性心筋梗塞が原因で死亡している。

警察では46歳(当時)の女を業務上過失致死で検挙。検察もこの女が当時クルマを運転していたとして同罪で起訴していた。

ところが女は初公判で「実際に運転していたのは自分でなく夫だった」と主張。事故現場には夫から呼び出されて向かい、そこで身代わりになるように指示されたと陳述した。当時は多額の借金があり、夫が働けなくなると生活にも困ると思って身代わりとなったという。

ところが、夫が別の事件を起こして服役することになったため、黙っているのを止めて告白したとも話していた。

突然の陳述だっただけに法廷は混乱に陥した。服役中の夫を証人として法廷に呼び出すことを決めることにも手間取り、第2回公判の時期が大幅に遅れるなどのトラブルも起きた。

26日に行われた公判で、被告の夫は「運転していたのは妻に間違いない」と主張。「事故当時に自宅にいたのは妻ではなく自分だ」とも強調した。

これについて被告弁護側は次回公判の際に「夫から連絡を受けて事故現場に向かった」とする知人を証人として法廷に呼ぶとし、裁判所もこれを容認している。

同裁判所によると、刑事裁判の最中にこのようなトラブルに陥ることは非常に珍しいという。

《石田真一》

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