秋田県警は20日、秋田県秋田市内に工場を持つ化学薬品メーカーが国道7号線などを使って希硫酸を輸送した際、タンクを破損させてこれを周辺に飛散させるという被害を出していた報告を、19日までにこの会社から受けていたことを明らかにした。
人体に健康被害を与える可能性が高く、警察では秋田県やメーカーなどと共同で追跡調査を実施している。
これは秋田県警・生活環境課が明らかにしたもの。事故は19日午前10時30分ごろから、同日の午後0時20分ごろの約2時間の間に発生したとみられている。
秋田市茨島に工場を持つ化学薬品メーカーから希硫酸の入った容器(15リットル×120本)を受け取り、国道7号線などを使って輸送していた大型トラックの運転手が山形県遊佐町内で休憩を取った際、このうち1本の底部が破損し、ほぼ全量が無くなっていることに気が付いた。
運転手は山形県警・酒田署とメーカーに通報。酒田署が実施した一次的な事情聴取に対しては「搭載した段階で容器に破損は無かった」と供述している。警察では何らかのトラブルで走行中に容器が破損し、中身が空気中に飛散したと判断。経路上の大部分が秋田県内であることから、秋田県警にも通報を行った。
希硫酸は腐食性があり、肌に直接触れることはもちろん、ミスト(エアロゾル)となって空気中に飛散したものを吸い込めば呼吸器系にも重大な被害を及ぼす。
秋田県警ではトラックが通過した経路上で歩行者や、併走したクルマのドライバーなどが希硫酸を浴びた可能性が高いとみているが、これまでに被害の報告は寄せられていない。
極めて重大な事故にも関わらず、12時間以上が経過するまで事態は発表されなかったが、これに対して警察は「詳細を把握できておらず、搭載物の危険性についてはメーカーが率先して公表すべきだった」としている。