「パニックになった」殺意否定

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埼玉県鶴ヶ島市内の圏央道・圏央鶴ケ島インターチェンジ(IC)で、出口車線で単独事故を起こし、車外に出ていた54歳の女性を二度に渡って大型トラックではね、この女性を死亡させたとして殺人罪などに問われた53歳の男に対する初公判が14日、さいたま地裁川越支部で開かれた。被告は「殺意は無かった」と起訴事実の一部を否定している。

問題の事故は昨年12月22日の午後1時20分ごろに発生している。鶴ヶ島市三ツ木付近の圏央道・圏央鶴ヶ島ICの出口車線でガードレールへ接触する自損事故を起こした54歳の女性が車外に出てクルマの破損状況を確かめていたところ、車線中央部付近で後続の大型トラックにはねられた。

トラックの運転手は料金所まで走行し、料金収受員に「出口車線で人をはねた」と報告した。女性は腹部の損傷が著しく、すぐに病院へ搬送されたが、骨盤骨折などを原因としてい死亡している。

当初は通常の業務上過失致死としていたが、女性の体には前輪と後輪で二度に渡って踏まれた痕跡があること。事故を起こした現場から通報したのではなく、約300m離れた料金所で通報を行っていることなどから、警察では「男が現場から逃走しようとしていたのではないか」と仮定し、厳しく追及してきた。

この結果、男は「逃げようとした際、倒れている女性の体に後輪で乗り上げた。たぶん死ぬだろうと思った」と供述したため、警察では「未必の殺意に当たる」と判断し、殺人罪として追送検。検察もこれを認めて殺人罪で起訴していた。

14日にさいたま地裁川越支部で行われた初公判で、被告の男は「女性をひいたと認識してパニックになった。警察に連絡しなくてはと思い、料金所に向かってしまった。殺意はないし、救護違反をするつもりはなかった」として、検察側の主張である「逃走の意思」を否定した。

弁護側も「料金所で事故を起こした旨を料金収受員に告げている」と主張。逃げる意思は無かったことを強調している。

公判は今後も続けられる。

《石田真一》

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