過労運転指示の会社に罰金刑

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2002年8月、三重県鈴鹿市内の東名阪自動車道で居眠り運転の大型トラックが渋滞中の車列に突っ込んで11人が死傷した事故で、事故を起こした運転手に過酷な勤務を命じ、道路交通法違反(過労運転容認)と労働基準法違反の罪に問われた運送会社(法人)と、この会社の運行管理者に対する判決公判が31日、水戸地裁で開かれた。

裁判所は会社に対して罰金を、運行管理者に対して執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。

問題の事故は2002年8月10日に発生している。帰省ラッシュに伴う渋滞が発生していた鈴鹿市内の東名阪自動車道で、連続勤務によって過労状態に陥って居眠り運転をしていた大型トラックが渋滞中の車列に追突、4台が関係する多重衝突事故となった。

事故によって数台のクルマ押し潰されてガソリンが漏れ、これに着火して起きた車両火災によって逃げ遅れた5人が焼死、6人が重軽傷を負った。

事故の原因は追突してきた大型トラックを運転していた男の居眠り運転だったが、この運転手は事故前の3日間に茨城県日立市と大阪を往復するという過酷な労働を会社の指示によって行っており、その間は数時間の睡眠しか取っていなかった。

警察が家宅捜索で押収した資料を分析した結果、この会社が恒常的に長距離運転の必要な連続勤務を命じ、運転者に対する休憩の指導を怠ってきたことが判明。

「追突事故の発生には過酷な勤務を命じていた運送会社の責任もある」として、運転手が勤務する運送会社の運行管理者を道交法違反(過労運転容認)容疑で逮捕。後に同罪で起訴していた。

31日に行われた判決公判で水戸地裁の村田鋭治裁判官は、この事故が起きる以前にも別の運転手3人が同様の過酷な勤務を命じられ、居眠り運転による5件の事故を起こしていたことに触れ、「会社は雇用している運転手の健康管理や通行人の安全を軽視していた」と指摘した。

その上で「企業としての利益を追求するあまり、社会的責任を放棄したと認められる」として、法人としての運送会社に120万円の罰金支払いを。過酷な労働を指示していた運行管理者に対しては懲役4カ月(執行猶予3年)の有罪判決を言い渡した。

《石田真一》

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