自殺を手助けしたのか、それとも偶発的な事故だったのか

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自らが死亡することで得られる生命保険金で借金の穴埋めを決意した当時68歳の父親の背中を押し、車道に突き落として死亡事故を誘発したとして自殺幇助罪に問われた39歳の男に対する論告求刑公判が15日、京都地裁で開かれた。

被告側は罪状を否認しているが、検察側は懲役5年の実刑判決を求めている。

問題の事故は昨年3月9日に発生している。同日の午前1時ごろ、京都市下京区五条通新千本東入付近の国道9号線に当時68歳の男性が飛び出し、走ってきた乗用車にはねられて死亡した。

事故発生当時は単なる交通事故として処理されていたが、男性をはねたクルマのドライバーは「男性が横から飛んできた」と供述。さらには対向車線で事故の瞬間を目撃したドライバーが「被害者の男性は何者かに強く突き飛ばされ、車道に転倒したように見えた」と供述した。

事故発生を通報したのは男性の長男にあたる人物だったが、この長男の証言とは明らかな食い違いが生じていることからさらに調べを進めたところ、死亡した男性には多額の保険金が掛けられていることが判明した。

男性は自らの借金をこの保険金で穴埋めすることを周囲に提案しており、長男は男性の自殺を幇助した(車道に向けて押し出した)疑いが濃くなった。このため、警察では長男を自殺幇助容疑で送検。検察も同罪で起訴していた。ただし、長男は公判で「父の背中を押したことも、自殺の手助けをした覚えもない」として、罪状を全面的に否認していた。

15日に行われた論告求刑公判で検察側は改めて目撃証言の信憑性を評価した上で、「父親の命と引き換えに保険金を得ようとした言語道断の犯行」と指摘。裁判所に対して懲役5年の実刑判決を求めた。これに対して弁護側は無罪を主張している。
《石田真一》

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