事故に偽装して証拠隠滅…暴走族メンバーに6-3年の不定期刑

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暴走族への加入を拒む少年にリンチを加えて殺害し、バイク事故に偽装して路上に放置したとして傷害致死罪に問われた元暴走族メンバー4人に対する判決公判が25日、宇都宮地裁栃木支部で行われた。

裁判所は4人に対して6-3年の不定期刑を言い渡している。

問題の死亡事故は今年4月6日未明、栃木県佐野市内で起きた。同市内に住む当時16歳の少年の友人が「仲間がバイクで事故を起こした。死んでいるみたいだ」と警察に通報。

警官が現場に急行したときには少年は脳挫傷が原因で死亡していた。遺体の近くにバイクが転倒していたことや、通報の内容から警察は事故と判断し、事故処理も行った。

ところが事故発生から1週間ほど後、警察に対して「亡くなった少年は暴走族グループとトラブルとなり、リンチを受けて死んだ」という内容の密告電話が寄せられた。

このため、警察では事故発生を通報した少年の友人から任意で事情を聞いたところ、死亡した少年が暴走族加入を拒んだことでリンチを受けたことや、暴行を加えたグループから通報者自身も「殺す」と脅されていたことなどが判明した。

これを受け、警察では佐野市内を拠点とする暴走族グループのメンバー4人を逮捕。被害者の少年が事故死したのではなく、リンチによって殺害されたことを最終的に確認している。

25日に行われた判決公判で、宇都宮地裁栃木支部の滝沢雄次裁判長は、被告が自分たちのグループ勢力を拡大することを目的に被害者らに暴走族加入を強要、加入同意が得られていないにも関わらず、被害者がグループへ加入したものとみなし、これに異議を唱え、グループに入らないという意思を強固に示した被害者を“グループから脱退したもの”と扱い、脱退制裁と称した暴行を加えたと認定した。

その上で裁判長は「脱退に対する制裁は暴走族特有の論理であり、反社会的で身勝手極まりない。前途ある16歳少年の尊い生命を奪い、他の被害者に肉体的・精神的苦痛を与えた結果責任は重大」と指摘し、リーダー格とされる18歳と17歳の少年に対し、懲役6-4年の不定期刑を、リンチに加わった別の17歳の少年2人に対しては同じく懲役5-3年の不定期刑を言い渡している。

栃木や群馬を拠点とする暴走族グループでは、脱退に対する制裁が特に厳しいと言われており、脱退がリンチ事件に発生したというケースは他にも見受けられる。今回は不定期刑とはいえ、実刑判決という厳しい判断になったのも、類似事件の発生を厳罰執行によって抑止する狙いがあるものと思われる。

《石田真一》

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