交通事故なら疑われない---計画的殺人のきっかけ?

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埼玉県警は20日、美里町に住む当時33歳の女性が保険金を目当てに交通事故を装って殺害されたという事件で、主犯格となった63歳の女(被害者の母親)は事故の直前となる1999年6月、自宅の所有権について被害者から「贈与された」と申告。自分名義に書き換えていたことを明らかにした。

被害者は消費者金融などから多額の借金があり、自宅の土地・建物には3200万円の根抵当権が設定されていたが、これらは女性の死亡時に保険金で返済されている。

これは埼玉県警・捜査一課が明らかにしたもの。被害者の女性は自宅を新築した1997年ごろから借金を繰り返し、当時すでに数千万円の借金があった。主犯の女はこれについて悩み、周囲に「何とかならないものか」と相談。これに対して「事故を装って殺せばいい」と提案したのが、共犯として逮捕された42歳の男だという。

男は「生命保険は厳密な調査が入り、かなり怪しまれる。だけど交通事故は偶発的なものだから、損害保険会社は基本的に調査をしない。事故で人が死んだとしても罪はそんなに重くないし、運が良ければ刑務所に行かずとも済む」などと、交通事故を装うことのメリットを掲げ、女も最終的にはこれに納得したようだ。

この交通事故では損害賠償として4800万円が支払われ、さらには団体信用保険の支払いによって土地などを担保としていた借金は被害者の死後に抹消されている。

事件に関与した者の報酬は役割に応じて決められ、事故を起こしたとして逮捕された男の500万円を筆頭に、それぞれに300万円程度が支払われていたらしい。これらの支払い完了まで保険金が振りこまれていた口座の管理は共犯の男が行っており、女は全ての手続きが終了した後に残額を受け取ったとみられる。

また、事故の直前には自宅の名義が変更されていたが、これは被害者が死亡した際、被害者の子供に所有権が移ることを警戒したものと思われている。このアドバイスも共犯の男が行ったとみられているが、男は一連の容疑を否認している。

《石田真一》

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