110時間連続!!---過労運転を黙認した会社を送検

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警視庁は17日、連続110時間にも及ぶ過酷な勤務をトラックドライバーに対して命じていた疑いがあるとして、法人としての岩手県内の運送会社と、この会社の役員ら3人を道路交通法違反(自動車使用者の義務等違反)容疑で書類送検した。

問題のドライバーは今年6月、東京都内で2人が死亡する交通事故を起こしており、警察が関連を調査していた。

警視庁・高速隊の調べによると、今回の書類送検の発端となった事故は今年6月27日に東京都内で発生している。同日の午前1時45分ごろ、足立区足立付近の首都高速中央環状線で、工事規制によって発生した渋滞のために減速していたタクシーに後方から走ってきた大型トラックが追突した。

トラックは追突後も減速せず、そのままタクシーの車体を押し潰し、運転していた64歳の男性運転手と乗客の24歳女性が即死した。

警察ではトラックを運転していた43歳の男を業務上過失致死容疑で逮捕したが、その後の調べでこの男が6月22日から連続110時間の勤務に就いており、約半分にあたる53時間は運転を続け、2850kmあまりを走っていたことがわかった。

死亡事故を起こした際には極度の過労状態にあり、居眠りをしていたことも判明している。

「なぜ過労運転をしたのか」という警察官の問いに対しては、「仕事のノルマとしては正直辛いものだったが、拒否すると解雇されるので仕方がない」と答えたという。男の公判はすでに終了し、禁固3年6カ月の実刑判決を受けている。

警察では「ノルマとしては辛かった」という証言について、過酷な勤務を会社側が命じていた可能性を証明するものだとして、男が勤務する会社の幹部から事情を聞いていた。

会社の社長は「会社が過酷な勤務を命じたのではない」と主張したが、役員の一人が「稼ぎたければ人の倍は働けと言うことは珍しくなかった」と、過重労働の容認があったことは大筋で認めた。

また、別の幹部は「長距離の輸送依頼が多く、結果的に長時間の運転を強いる状態になっていたことは否めない」と、会社の実績から過労運転が生じやすい状況だったことも認めている。

このことから警視庁では「具体的な指示は無くとも、会社の姿勢として過労運転を黙認する状況にはあった」と判断。法人としての会社と役員3人について、「運転手の過労運転防止策を実施しなかった」として道交法違反(自動車使用者の義務等違反)で書類送検した。

また、これに先立ち、国土交通省・東北運輸局はこの運送会社に対して、トラック5台を37日間(185日/車)の使用停止処分を命じている。

《石田真一》

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