マツダは、『RX-8』に搭載しているRENESISエンジンをベースにした水素ロータリーエンジンを公開した。水素ロータリーの開発は10年以上行なっているが、今回のものは市販のRX-8にわずか70kgのパーツを装着しただけで済み、燃料も水素だけでなく通常のガソリンも切り替えて利用できるバイフューエル。
燃焼室内への燃料供給は、2機の水素インジェクターによる直噴方式。ロータリーはレシプロエンジンに比べ、燃焼行程と吸気行程が別となるため、噴射場所が高温になることもない。そのため、水素インジェクターを容易に設置でき、そのスペースに余裕があるという。
また、水素の希薄燃焼をより効率的に行なうため電動アシスト付きのターボチャージャーを装備した。これは発進時などタービンが回らない領域でもモーターによってタービンを回し、過給状態を実現するもの。高回転域では排気による過給が可能なため、低域から高域まで良い燃焼状態を可能にするのだという。さらに、この水素ロータリーはアイドルストップと発進時の電動アシスト機能がついたハイブリッド構成となっている。
いいことばかりのようだが、このエンジンの問題は航行距離などの性能。トランクルームいっぱいに設置された容量74リットルの高圧水素タンクでは約50kmほどしか走れないという。出力もガソリン走行時の154kW(210PS)に比べ、水素使用時は81kW(110PS)。トルクも222Nmに対して120Nmと半分近くまで減少している。