帰ってきてからもアルコール検知---バス運転手

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日本バス協会は16日、バス運転手の飲酒運転防止策として、これまでは出発時の点呼で行うように加盟各社に指導していたアルコール検知について、今後は原則として帰着時にも行うようにしたり、長距離バスの乗務員に対しては運転交替時に抜き打ちでの検査を新たに実施するするなどの再発防止策を決めた。各社に通達し、準備が出来次第で順次実施する。

これはバス運転手の飲酒運転を起因とする事故が相次いだことを受け、同協会が策定を急いでいたもの。

現在行われているアルコール検知については、昨年7月に起きたJR東海バスの飲酒運転を起因とするサービスエリア内での接触事故、8月に起きた神戸市交通局の歩行者死亡事故、10月に起きた千葉観光バスの無点呼飲み歩きを発端に策定されている。出発時に行う点呼の際、アルコール検知機による呼気検査を行い、アルコール量を確かめるというものだった。

ところが実際にはアルコール検知自体が労使間の紛争などの原因となる会社が多く、運行管理者の前で適切にアルコール検知が行われている会社の方が少ない状態。運転手の自主性に任せるという会社もあり、こういうところでは検査自体が形骸化。実際にはアルコール検知が行われていないことも珍しくなかった。

また、観光バスの運転手などが出先で飲酒に及ぶケースもあり、こうした際の飲酒を会社側が把握するのは非常に難しかった。バスガイドを監視役とするというアイデアもあったが、これはガイド側からの反発もあり、その方法も明文化されていなかったためか、実施していた会社の方が少なかったようだ。

今後実施する新たな防止策については、従来のように出発時の点呼の際だけではなく、帰着時の点呼の際にもアルコール検知を実施するように義務づける。

これはジェイアールバス関東の運転手のように「乗務中に飲酒する」という新たなケースが確認されたためで、帰着時の検査を徹底することで「会社の目が届かない、一種密室状態となったバス車内」での飲酒を防ぐという目的がある。また、長距離を走行する高速バスの乗務員に対しては、運転手の交替時に抜き打ちでの検査を実施し、一段と厳しい検査を実施するとしている。

同協会では加盟する約2200社にこれを通達するが、実施における費用負担は各社持ちとなっており、どこまで徹底されるかはその会社の姿勢にも左右される。

《石田真一》

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