【カーナビ2003夏の陣】海の中を走る? 誤差、最大で793mも

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カーナビゲーションシステムの誤差が日本国内の離島で次々と生まれていることが明らかになった。その幅は最大の硫黄島(東京都小笠原村)で793m、北大東島・南大東島(沖縄県)で642m、多良間島・水納島(沖縄県)で560m、石垣島・竹富島(沖縄県)で251mなどとなっている。ちなみに沖縄本島でも14mの誤差が発見されたという。

カーナビの地図は国土地理院が発行する1/2万5000の地図をベースにしているが、沖縄本島程度の誤差ならばマップマッチングなどで補正されてしまうものの、200m以上も誤差があれば正しい位置を表示することは不可能となる。

今回明らかになったカーナビで影響のありそうな50m以上の誤差がある他の島は、与那国島(沖縄県)の248m、宮古諸島(沖縄県)の88m、青ヶ島(東京都青ヶ島村)の75m。利尻・礼文島などの北海道内の離島の誤差はすべて10m未満だった。

※この資料は、国土地理院長の承認を得て、同院の技術資料H・1-?3「日本測地系における離島位置の補正量」を使用した。(承認番号 国地企調発第315号 平成15年7月3日)

誤差の理由は、本土から見えない位置にある島の場合、三角測量で正しい位置が決められないため、現地で北極星の高さなどから緯度と経度を計算しておおよその位置を算出してきたことによる。GPSの利用がなかった時代ならこれで済んでいたわけだが、その利用が広範囲にわたる現在、この誤差が与える影響は大きくなっている。

とくに民間が利用できるGPS電波に誤差信号が入らなくなった2001年5月からは、GPS測位だけでもかなりの精度でカーナビ上で自車位置を表示するようになっていた。そんな状況を踏まえ、国土地理院では誤差1cm以下のGPSを利用して北海道の利尻・礼文島から沖縄県の与那国島まで57地域の島をあらためて測定。その結果、これらの誤差が明らかになったわけだ。

こんな中、地図会社のゼンリンは2000年7月発行のバージョンより、誤差が大きくカーナビを使うにも支障が出ている石垣島を修正して対応している。石垣島の誤差は、対人口比で考えればもっとも影響の大きい地域。

ゼンリンによれば、トヨタ車ユーザーからのクレームを受けて対応したことらしいが、対応時期はいみじくも2000年サミットの開催に合致する。要人を送迎したり、マスコミが使うクルマに搭載されているカーナビで「海の上を走っている!」状況は避けたかった、ということなのかもしれない。

実際に現地でその測位状況を確認してみると、1999年発行のナビ研対応ソフト「九州SUPER地域版4」では明らかに北東方面に250m程度のズレを発生し、海の上を走る結果となった。同じカーナビで最新版である「九州SUPER地域版8」を使用するとそのズレはなくなり、正確に道路上にマッチングするようになった。

ゼンリンによれば、同社の地図データベースを使用しているアイシンAW系(アルパインや富士通テンなど)やザナヴィ・インフォマティクス製向けの地図は同時に修正を行っているという。つまり、それらの地図を使っているトヨタや日産、ホンダなどの、少なくとも2001年以降の車種に搭載されているカーナビは対応済みになっているというわけだ。

また、パナソニックの一体型DVDナビ「P-navi」CN-P01VDも付属の地図ソフトでは、100mスケールより広域では正確に位置を表示したが、それより詳細の50/25mスケールになると同様のズレを示すという現象が発生。そこで2002年度版でバージョンアップを行うとそのズレはすべてのスケールで発生しなくなっていた。ちなみに、パイオニアに問い合わせをしたところ、「現時点では国土地理院の地図データに頼ったままで、独自での修正は行っていない」とのことだった。

《会田肇》

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