29日午前、神戸市垂水区の神戸淡路鳴門自動車道・明石海峡大橋に「ドライバーが乗っていないクルマが放置されている」との通報が本州四国連絡橋公団から兵庫県警に寄せられた。クルマの所有者は岩屋署の刑事生活安全課長(階級は警部)のものとわかったが、この課長は約2時間後に海上で遺体として発見されている。
兵庫県警・高速隊、海上保安庁・神戸海上保安部の調べによると、事件が起きたのは29日の午前8時から8時30分ごろに掛けての間とみられている。本四連絡橋公団のパトロールカーが神戸淡路鳴門自動車道下り線の明石海峡大橋上に無人の乗用車が放置されていることを発見。兵庫県警に連絡を行った。
高速隊はパトカーを現場に急行させ、所有者の割り出しを行ったが、ナンバーから岩屋署の刑事生活安全課長の使用しているクルマと判明した。クルマに目立った故障がなく、自走も可能なことから、警察では「この課長が何らかの事件、事故に巻き込まれた可能性が高い」と判断。海面に落ちた可能性もあるとして、海上保安庁にも捜索を要請した。
神戸海上保安部は要請に基づき、巡視艇を出して現場付近の海上を捜索していたところ、明石海峡大橋から西へ3kmの海上で行方不明となっていた課長の水死体を発見。回収した。死因は全身強打によるものとみられ、水を飲んでいないことなどからほぼ即死の状態だったようだ。
課長は同日の午前7時30分ごろに「捜査中の事件があるから署に向かう」と言って神戸市内の自宅を出ているという。クルマには遺書なども残されておらず、家族も「自殺する原因は見当たらない」と話している。また、勤務する岩屋署の関係者も「特に多忙ということもなく、悩んでいる様子も見受けられなかった」としている。このため警察では事件、事故、自殺の3方向から捜査を進めていくとしている。