4月17日、東京江戸川区のデザイン専門学校、TCA=東京コミュニケーションアートで、ホンダの“カリスマデザイナー”、中野正人上席研究員(本田技術研究所・和光研究所)が特別講義を行った。ホンダのモノ作り、デザインの本質をわかりやすく解説した。
「ホンダのモノ作りの原点は『T360』と『S500』にある」と中野上席研究員。ごく最初機の4輪車であるだけでなく、それぞれユーティリティとスポーツという、現在に続くホンダ製品の2本柱がここから始まっているのだ。
中野上席研究員は「大衆を生かし、大衆に親しまれ、大衆を楽しますものの生産こそ我々の進む道ではあるまいか」と、創業者・本田宗一郎がかつて社員に出した手紙を引用する。
そしてモノ作りで大切なことは「先を行く」ことと、「為になる」ことだという。先を行くということは、新しい流れを作るということ。客がそれを感じるか、他社にもそう見えるか、自分もそう思えるか、と説く。
では「為になる」モノ作りのために、客に喜ばれるか、世の中の味方か、会社の利益につながるか、自分達も満足か、と自身に問いかけることが大切だという。
中野上席研究員は1973年に本田技術研究所に入社、『プレリュード』(歴代)、『アコード・エアロデッキ』、『インスパイア』(初代)、『NSX』などのデザインを手掛け、『S2000』のデザインをディレクションした。ちなみにS2000のキーデザイナーはTCA出身の澤井大輔デザイナーだ。