慰謝料だけで3600万円!! 泥酔逆走事故の被告に命じた賠償金

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泥酔状態で高速道路を逆走した結果として事故を起こし、4人を死傷させた元自動車ディーラー社員と当時この社員が勤務していた会社を相手取り、事故の被害者遺族が総額1億4400万円の賠償請求を求めていた民事訴訟の判決が27日、東京地裁で行われた。裁判所は現在服役中の元社員に対し、約8894万円の賠償金を支払うように命じる判決を言い渡した。

この事故は2000年12月2日に起きた。当時、茨城県内の自動車ディーラーに営業スタッフとして勤務していた男が会社の忘年会終了後に自分のクルマを使って帰宅する際、常磐自動車道の上り線を逆走。対向してきた他のクルマ3台と正面衝突する事故を起こし、2人を死亡させ、他の2人にも重傷を負わせたというもの。刑事裁判では自動車ディーラーの社員であり、しかも会社の上司らがこの社員の飲酒運転を誰も止めようとしなかったことが明らかになり、懲役6年の実刑判決が言い渡されている。

今回の民事訴訟では死亡した2人うち、当時61歳の会社役員男性の遺族が起こしたもので、遺族側は「自動車を販売する企業にもかかわらず、忘年会後の社員の飲酒運転の防止を怠った会社や上司の責任も重大」と主張。事故を起こした元社員だけではなく、元社員が当時勤務していた自動車ディーラー、飲酒運転を止めなかった元上司の3者を相手に総額1億4400万円の支払いを求めていた。

27日の判決で東京地裁の河辺義典裁判長は「忘年会は会社の開催だが、宿泊を前提としている。出席者が勝手に帰宅しないかどうかをチェックするまでの義務はなく、上司も飲酒運転を予想することは困難だった。また、従業員への飲酒運転禁止の働きかけが不充分だったことは否めないが、忘年会は業務外の行為であり、法的義務までは負っていない。」として、会社と上司への請求は退けた。

しかし、加害者本人については「常軌を逸した行為で、遺族の苦痛は計り知れない」として、慰謝料3600万円を含む総額8894万円を支払うように命じている。慰謝料は交通事故の損害賠償訴訟では異例といえる高額なものだが、これについて裁判官は「過去に例が無いほど高額です。その意味をわかってほしい」と被告側を諭す場面も見られた。

遺族側は「会社と上司の責任が認められなかったのは納得できない」として控訴の意思を示している。

《石田真一》

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