福岡県警は13日、暴力団組長の指示によって福岡県や大分県などで500台近い盗難車を盗んでいた25歳の男と、その共犯の31歳の男を窃盗容疑で12日までに逮捕していたことを明らかにした。別の高級車窃盗グループを捜査している際に急浮上したが、盗難車を転売した売上げがそのまま暴力団の資金となっていた可能性が高く、こちらの方がより深刻なのではないかという。
福岡県警(高級車窃盗事件・専従捜査班)の調べによると、この男は2000年夏から2002年夏に掛けて、福岡県内や大分県内で高級車をターゲットとした自動車盗難を繰り返し、判明しているだけで50台(1億円相当)を盗んだ疑いが持たれている。
2人は1993年ごろから覚せい剤の売買を通じて、福岡県内の広域暴力団の幹部と知り合い、2000年ごろからは「すぐにカネになるのは高級車だ。これからは高級車だけを盗んでこい」と組長に命じられ、高級車窃盗団に仲間入り。以後2年間におよそ500台を盗難していたとみられる。
2人は実際にクルマを盗むことを担当していたが、窃盗団の組織の中には車検証やナンバープレートなどの偽造を専門に担当するグループ、国内外に盗難車を売却するバイヤーを担当するグループなどがおり、組織は数十人規模だったとみられている。国内で売れるものは、主に暴力団関係者を中心に流通していたとみられるが、その売却益の大半を組織は暴力団に対して献上していたといわれており、「すぐカネになるのは…」という関係者の言葉どおり、そのまま暴力団の活動資金になっていた可能性が高いという。
福岡県内には複数の高級車窃盗グループが存在しており、その全てが暴力団と何らかの関わりをもっているとみられているが、この2人は別の窃盗グループを捜査している段階で摘発を受けている。2000年8月と2002年8月に行った盗難事件は2人の犯行と断定ができており、すでに窃盗罪で起訴もされている。
警察では2人が盗んだ500台という台数の裏付け捜査を進めるとともに、暴力団へのカネの流れなども解明していく方針。