【Winがクルマにやってきた】ITRONナビと、Windows CE for Automotiveナビは今後も共存できるか

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『Windows CE for Automotive』という汎用のOSをカーナビを含むカーマルチメディア端末に採用したシステムは今後も増加していくと考えられるが、その一方で『Micro-ITRON』を採用した従来型のカーナビは徐々に姿を消していくことになるのか。これについてITS戦略統括部の平野部長は「数年先になると思うが、汎用プラットフォームを選ぶメーカーは確実に増えてきて、いずれはラインナップの上から下まで汎用という時代が来る」と語る。

平山部長いわく、日本市場で『Windows CE for Automotive』を採用してもらうのは「難しい」という。その最大の理由として、日本には単機能型カーナビの市場がすでに形成され、カーナビを開発するメーカーがこれまでに開発してきた資産が山のようにあるから。『Micro-ITRON』上で最適化されたアルゴリズムを含むモジュールやコンポーネントの資産を捨て去り、汎用プラットフォームという未知の世界に乗り移ることは普通では考えられないという。ただし、現在の専用プラットフォーム(Micro-ITRON)の技術では「マルチメディアをやろうと思っても、いつかは限界が生じる」ので、そのときがチャンスではないかと語る。

ただし、現状では苦戦を強いられているようだ。平山部長は「ナビの市場が未成熟な北米や欧州では、Windows CE for Automotiveを“1st Big step”と称しています。これまでの開発資産が無くとも、汎用プラットフォームを採用することで“大きな最初の一歩”となる。実際にそういうアピールをしています。ところが日本の客は現時点でもっと先にいる。売り込んでもMicro-ITRONと比較して、乗り移る価値があるのかという検討から始めなくてはならない」と言い、さらには「現時点ではWindows CE for Automotiveが全ラインナップでマストだとは思えない」と現状を認識する。

マイクロソフトにしては弱気な発言にも思えるが、そこにはこんな見通しもある。

「通信機能など多機能を求められる上級機の開発の主流は汎用プラットフォームに向かうのではないか。しかし、低価格ナビなどナビゲーション単機能のモデルではMicro-ITRONを採用するケースも多いだろう。しかし、数年後には上級機で培った汎用プラットフォームの技術蓄積とCPUやメモリのコスト低下は進み、そうした頃、エンドユーザーから低価格ナビにも通信機能があたりまえに欲しいという声が高まると予想します。我われにはチャンスです」(平山部長)

数年後、Windows CE for Automotiveベースのナビで店頭は埋め尽くされる日が来る。その一方で営業の清水さんはこんな見方もしている。

「あくまでも一消費者の立場ですが、Windows CE for Automotiveが入っているかどうかは問題ではない。大切なのは“そのナビで出来ることは何なのか”ということ。通信インフラが整備され、Windows CE for Automotiveナビでないと出来ない“何か”が生じたとき、そこにエンドユーザーさんが魅力を感じたなら一気に行くでしょう」

その「何か」が今の時点ではわからないとしながらも、そのカギは「コミュニティ」が握る。今、この日本でWindows CE for Automotiveに一番近い距離にいる2人はそう感じている。では、そのコミュニティとは何なのか?

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《石田真一》

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